ご主人の退院を機に シニアマンションに転居
「ここは息子が見つけてきてくれたんです」と、柔らかく笑う。福岡市早良区のシニアマンション「レジアス百道」に暮らして5年目。北九州市で夫婦2人暮らしを続けてきたが、ご主人が圧迫骨折で入院。退院後の暮らしを心配した長男に、入居を勧められた。家もそのまま。必要なものはその都度、取りに行ってもらうという話に、急な引越しだったことがうかがえる。「来てみたら、すごくいいところで。環境はもちろんですが、スタッフの方がしょっちゅう声をかけてくれて安心できます」。24時間スタッフが常駐しているため、もし夜中に体調が悪くなっても駆けつけてくれる。その安心感は、以前とはくらべものにならないほど大きい。敷地内にある広い庭を散歩し、囲碁クラブで仲間と笑い合い、大浴場でゆったりと寛ぐ毎日を送るうち、ご主人はみるみる元気になったそうだ。
介護が必要になったときに、どこで暮らすかに頭を悩ませる人は多い。高齢者施設を選ぶのも、いくつか見学した上でというのがセオリーだが、見すぎるとかえって迷いが出るもの。Mさんのように先入観を持たない方が、新しい生活に早く溶け込め、楽しめるのかもしれない。
今だから持てる 2人の時間を大切にしたい
1年前、ご主人は介護付有料老人ホーム「フェリオ百道」に転居。ご主人の介護サポートをより充実させるため、またMさんの体調を気づかって、家族や施設スタッフが提案したのだとか。といっても、2つの建物はレストランでつながっており、雨の日でも濡れることなく、安心して行き来できる。
趣味を尋ねるとちょっと考えて「主人に毎日逢いにいくこと、かな」とはにかむMさん。週に1度、レジアスのレストランで、一緒に食事をするのも楽しみ。「主人が仕事をしていた頃は忙しくて、2人の時間もあまり持てませんでした。今が一番いいねって、話すんですよ」。人生の実りの時を、ゆっくりと味わっている。
レジアス百道のレストランで、ご主人と食事をするのも楽しみのひとつ
花が好きというMさんがよく立ち寄る屋上庭園。夏の百道浜の花火の特等席だ