定年と介護を機に 福岡へUターン
「毎年6月に3週間ほど、夫婦でハワイに行きます」。そんな手紙をくれたのは、読者の竹内律子さん。夫・孝光さんの定年や、母の介護をきっかけに、2年前千葉県から律子さんの実家のある福岡市に移り住んだ。毎日のスポーツジム通いに、バス旅行や講演会、舞鶴公園の桜が満開になったというニュースを見たら即行動。まさに“人生の実りをたっぷり愉しむ”ぐらんざ世代。「老後が青春。“老春”してます(笑)」と快活に笑う。
羨ましく思う人も多いだろう。しかし、今の暮らしは、懸命に仕事をしてきた現役時代に支えられている。10回以上転勤を繰り返した孝光さん。律子さんも美容師として店を構え、子育てをしながら家を守った。仕事柄、生涯現役を続けることもできたが、「美容師の仕事はお客さまファースト。朝6時でも夜8時でも頼まれれば断れません。これからは夫婦で、好きなことをして過ごすのもいいかなと思って」と、自らの決断を振り返った。
夫婦が笑っていることが 一番大切
妻の故郷へのUターンに、新築マンションの購入。思い切った行動は「最後は2人が楽しく暮らすことが大切」と考える、孝光さんによるもの。「私の方が強くて、何もかも決めてしまうようにみえるけれど、本当は逆。子どものことや家族のこと、イザという時には相談してきました」と、律子さんは全幅の信頼を寄せる。関東出身で地縁がなかったにも関わらず「好きなところに住んでいいよ」と、福岡への移住も後押ししてくれた。一方、孝光さんも「昔から外食をほとんどせず、まめに食事をつくって節約してくれたから、旅行にも行ける」と、労ってくれるという。
夫婦円満のコツは? と尋ねると「“ありがとう”“助かる”と、口に出して感謝を伝えること」と律子さん。お互いを認め、思いやる。本当に羨むべきは、2人がこれまで過ごしてきた時間なのだ。
光あふれるリビングからは、遠くに山並が見える。関東にはない風景が好きと声を弾ませる
コンドミニアムに滞在し、スーパーで買い物。20回以上は訪れたハワイでは、「暮らすように旅する」のだとか