映画『グリンチ』
監督:ドクター・スース 監督:スコット・モシャー/ヤーロウ・チェイニー
日本語吹替 声の出演:大泉 洋、杏、秋山竜次(ロバート)、横溝菜帆 ほか
◎TOHOシネマズ天神・ソラリア館、ユナイテド・シネマ キャナルシティ13、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ 福岡ももち 他にて公開中
真夏にセーターで役になりきった!?
ホリデーシーズンにぜひ、家族そろって楽しみたいアニメーション映画『グリンチ』。「クリスマスを根こそぎ盗んでやる!!」という、ひねくれ者のグリンチの荒唐無稽な大計画のゆくえは?原作は1957年に刊行され、今なお欧米の子供たちに愛され続けている絵本『いじわるグリンチのクリスマス(原題:How the Grinch stole Christmas!)』。現代のマザーグースとの呼び声も高い偉大な絵本作家・ドクター・スースの世界がスクリーンいっぱいに繰り広げられ、子どもも大人も夢中になることうけあいだ。
日本語吹替で、主人公グリンチ(大泉 洋)の隣人・ブリクルバウムの声を担当するのが福岡出身、ロバートの秋山竜次さん。いつも陽気でクリスマスが大好きなブリクルバウムの声に挑戦するにあたっての意気込みをうかがってみた。
「基本的に今年の夏はセーターで過ごしました。クリスマスシーズンのお話なので僕のやる役も冬の格好をしているわけで、そういうのも声に出ちゃうと思って。8月〜9月の収録でしたから本当はTシャツを着たかったんですが『こいつ夏に収録しているな』と思われるのがどうしても嫌で、役に合わせてずっとセーターを着ていました。今年は特に酷暑でしたから地獄でしたよ。何度か脱水して医者にも注意されたんですが『そんなことより大事なものがあるんだ』とドクターストップも乗り越えて」と体当たりで役に挑んだとか!?
さらに「僕の父ちゃんはイルミネーションが大好きでね、裏山ひとつをイルミネーションだらけにして『あの家ヤバい』って言われてました(笑)。本当にブリクルバウムそのまんまなんですよ!」と役どころにぴったりのエピソードも披露してくれた。
誰かの幸せを願う温かなストーリー
秋山さんといえば、様々なジャンルで活躍する人物に扮して架空のインタビューを受けるという憑依芸「ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル」で大人気。同シリーズ中で若手ナンバーワン声優の二木陽次を怪演しているが、本作でブリクルバウムの声を演じる上で役立ったことは?
「喉や口だけで声を出すのではなくて臓器、つまり心臓(ハート)から声を出す感覚でしょうか。それを意識してやったら、監督も『すごくおもしろかった』って褒めてくれました」
さらに、これまでさまざまな人物になりきってきた秋山さんだが、ブリクルバウムは今まで演じたことのない独特のキャラクターだったとも。
「とにかくよく笑う楽しいおじさんだから、セリフのあらゆる隙間に笑い声を挟みました。笑うことにこだわるあまり『果たしてこれは吹替えなのか?』と思ったほどです。ぜひ映画の中で最高の『ハハハッ!』を見つけてください」
観終わった後、誰かのために何かをする、誰かの幸せを願う優しさがしっかりと残る。この冬、感動と幸せを運んでくれる温かなストーリーを。
西岡裕子=文
text:Hiroko Nishioka