人間的な深堀りをして名作の主人公を演じる

撮影:大塚紘雅
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』
公演期間/2022年1月19日(水)~28日(金)
公演場所/博多座(福岡市博多区下川端町2-1)
「一番好きなミュージカルです」
弾けるような笑顔でそう話すのは神田沙也加さん。2022年1月に博多座で上演されるミュージカル『マイ・フェア・レディ』で、朝夏まなとさんとWキャストで主役のイライザを演じます。2人は2018年版でも主演を務め、3年ぶりの再演。
『マイ・フェア・レディ』は、下町言葉なまりが強い花売り娘・イライザを、言語学者・ヒギンズが言葉遣いや立ち居振る舞いを教育し、貴婦人に変身させるストーリー。物語後半には、イライザと接することでヒギンズにも変化が訪れることが描かれます。
「この作品がたくさんの方から愛されているのは、全編に漂う色あせないクラシカルさに加えて、単なるシンデレラストーリーではないということも理由ではないでしょうか。男性も女性から教えられて共に成長していくという、時代を先取りしたところがある作品です。男性で教授として教える側であるヒギンズと、女性で習う側でもあるイライザ。はっきりとした上下関係があるように思えますが、実は逆の構成になっているところが面白いところだと思います」
『マイ・フェア・レディ』は、オードリー・ヘップバーンさんや大地真央さんら名女優がイライザを演じたことでも有名。偉大なる先輩たちが作ってきたイライザ像を、神田さんは引き継いでいくのでしょうか。
「映画がお好きな方、ミュージカルがお好きな方など、観る方によって抱いているイライザ像は違うと思います。映画や舞台、関連するものを全部観てきましたが、私の場合はキャラクター像を大切にしたいと考えています。作品を小説的に捉えて、俯瞰的に第三者目線でキャラクターを見ていきたいですね。こういう風に訓練されていったら、こんなところが悔しいだろうとか、人間的な深堀りを大切にしています」
大好きな作品を大好きな劇場で演じる
冒頭で「一番好き」と言葉があったように、『マイ・フェア・レディ』は神田さんにとって特別な作品。
「お仕事で携わる前から、何度も観劇しました。東京ではもちろんですが、博多座にも遠征して観劇していましたね。いろいろな劇場に1人でキャリーをゴロゴロ引きながら遠征する楽しみを知った作品です。大地真央さんの最終公演も観に行って、本当に大号泣しました。その時々のバージョンのせりふや歌詞を覚えてしまうくらい、何度も観ている大好きな作品です」
さらに神田さんは、博多座は大好きな劇場と言葉を続けます。
「劇場に入るときからドキドキしますし、商店街など街を挙げて応援してくださる。頑張らなきゃって励まされますね。9月に出演した『王家の紋章』のときは、カーテンコールになると皆さん全力で手を振ってくださって。エネルギーの交換のような、本当に励まし合っている感覚でした。だから、また博多のお客様にお会いできるのがすごく楽しみです」
神田さんをはじめ、多くの人を惹きつけてやまない作品。新年の幕開けにどうぞ。
山﨑智子=文
text:Tomoko Yamasaki