嘘は罪? いいえ、時として必要では?
Ⓒ2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
『そして、バトンは渡された』
監督/前田哲
出演/永野芽郁、田中圭、岡田健史、稲垣来泉、石原さとみ、大森南朋、市村正親
配給/ワーナー・ブラザース映画
◎10月29日(金)よりT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、
小倉コロナシネマワールド、T・ジョイ久留米 他にて公開
親子の関係が希薄になったのか、と思えるほど、幼い子どもや赤ん坊の命が軽んじられています。今回の映画は親子の情が、嘘をつくことで表された作品です。その美しい嘘が分かった時、不覚にも涙腺が決壊し、涙と鼻水でマスクの中は大変なことになってしまいました。
原作は2019年本屋大賞に選ばれた瀬尾まいこさんの作品。今、最も輝いている女優の一人である永野芽郁さんが高校生の主人公を初々しく演じています。
物語は血のつながらない料理上手な父親・森宮(田中圭)と高校生の優子(永野芽郁)の暮らしから始まります。お父さんとは呼ばず「森宮さん」と呼ぶ優子。それでいて自然体で温かな会話が流れます。実は、優子は名字が4回も変わった、一般的には家庭環境が複雑な女の子。学校では同級生たちから嫌な事を言われても、ポジティブな言葉で返す優子の笑顔が印象的でした。
そんな優子たちと並行して描かれるのは、小学生の女の子・みぃたんと、石原さとみさん演じる母親・梨花の生活。泣き虫なみぃたんを梨花は「笑っていれば色んなラッキーが転がり込むの」と励まします。
2組の家族の物語はどう関わっていくのか。その背景には、大人たちが子供のために命がけでつく嘘がありました。出演者全員が善人です。心の中が温かさでいっぱいになる作品です。
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。