真実を撮り続ける生命力と勇気
ⒸLarry Horricks
『MINAMATA ―ミナマタ―』
監督/アンドリュー・レヴィタス
出演/ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、ビル・ナイ 他
配給/ロングライド、アルバトロス・フィルム
◎9月23日(木祝)よりT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、福岡中洲大洋、シネプレックス小倉、T・ジョイ久留米 他にて公開
私は、青春時代の大部分を熊本で過ごし、「水俣病」という言葉は至るところで見聞きしていました。今回、ロバート・キャパ賞も受賞したカメラマン、ユージン・スミスの水俣病を撮った写真集『MINAMATA』が、ジョニー・デップ製作・主演で映画化。期待をこめて映画を観ると、作品からはジョニー・デップの思い入れの深さや、リアルさを追求したことが感じられ、出来上がりに驚きました。
1971年、ニューヨーク。お酒を浴びるように飲み、名声は廃れ、怠惰な毎日を送っているユージン・スミス(ジョニー・デップ)。彼の元に日本語通訳の女性アイリーン(美波)が訪れます。彼女の依頼は日本に来て、写真を撮ってほしいということ。日本の大企業が、熊本県水俣市の海に工場排水を垂れ流し、汚染された魚を食べた人たちや胎児に特異な症状が出ている事実を世に知らしめたいと言うのです。
彼女が渡した水俣病に関する写真を見て、ユージンは驚愕します。『LIFE』編集部を訪ね、水俣病を特集で取り上げてほしいと編集長をくどき、水俣行きが決定。ここからユージンの目線で見た住民と企業との激しい衝突や、患者の悲しみ、愛情が描かれていきます。水俣病を描くことを通して、今世界中で起きている公害に対する鋭いメッセージをジョニー・デップが発信。音楽は坂本龍一。映画の魅力を一層引き立てています。
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。