『The King and I 王様と私』
【作曲】リチャード・ロジャース
【脚本・作詞】オスカー・ハマースタインⅡ
【出演】渡辺 謙、ケリー・オハラ、ルーシー・アン・マイルズ、大沢たかお
【配給】東宝東和
◎10月4日(金)から福岡中洲大洋劇場にて公開
福岡も博多座が出来て、演劇に触れるチャンスは随分増えました。また、周辺の都市でも単発ではありますが、演劇の公演が行われる機会は増えています。しかし、東京・大阪から較べると、本数はまだまだです。
そこで、今月は渡辺謙、ケリー・オハラ主演のミュージカルの名作『王様と私』の劇場中継を映画館で見る作品をご紹介いたします。通常の映画とはやはり趣が違いますが、福岡に居ながらにして、病を克服しての渡辺謙さんの熱演ぶりを堪能できます。
この作品は、2015年版のプログラムで、2018年8月イギリス・ロンドンのパラディウム劇場での生中継映像をスクリーン上映するものです。大沢たかおさんも重要な役で出演し、とても素敵ですので、ご注目を。
スクリーンを観ていると出演者一人一人の息遣いが直に伝わり、すぐそこに渡辺謙さんがいる感覚に。やり直しのきかないセリフ廻し、歌、ダンスと、ドキドキ感は最高潮になりました。さらに、出演者の表情がはっきりとスクリーンに映しだされ、細かな情感がより一層こちらに伝わってきます。
私の年代は、映画版でのユル・ブリンナーの王を意識しますが、観ているうちに謙さんとユル・ブリンナーがオーバーラップし、勝るとも劣らない迫力ある演技に圧倒されました。
今年の夏、東京で凱旋公演も行われ、連日大盛況だったそうです。
ストーリーは1860年代のシャム(現代のタイ)に、英国人女性アンナは家庭教師として、息子を連れて赴任します。アンナは夫人たちと子供たちにマナー、英語を教える役目。夫人と子供たちはアンナに心を許して行きます。しかし、王様とはなかなか意思の疎通が図れません。そんな時、英国公使の接待、そしてダンスをきっかけに距離は一気に近まります。2人で踊る、あの名曲「ShallWeDance?」のシーンは圧巻です。
近代化に向おうとするシャム。戸惑う王様、そして、前半から中盤にかけては威丈高に振舞う王様。やがて人生の終焉に向い、衰えていく様を渡辺謙が見事に演じています。
また、アンナ役のケリー・オハラの堂々たる演技と歌声、更に観客の笑い声、万雷の拍手と、贅沢なひと時を映画館でお過ごし下さい。
国と国とがギクシャクする昨今、アンナと王様のように触れ合うことの大切さを痛感しました。
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。