人は生きる権利を持っている。「いのち」を絶つ権利は?
Ⓒ2021「いのちの停車場」製作委員会
映画『いのちの停車場』
監督/成島出
出演/松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、柳葉敏郎、小池栄子、石田ゆり子 田中泯 西田敏行 他
配給/東映
◎5月21日(金)よりT・ジョイ博多、ユナイテッドシネマ福岡ももち、福岡中洲大洋、
T・ジョイリバーウォーク北九州、T・ジョイ久留米 他にて公開
コロナ禍の今、これほど連日医療崩壊について報道される日々を送るとは考えてもみませんでした。日本の医療制度はどの国にも負けない、まして崩壊などあり得ないと思っていました。想定外の事が次々に起こっている現在、私たちはどう身を守ればよいのか分かりません。
今回ご紹介する映画のタイトルは『いのちの停車場』。深く命の限りについて考えさせられました。
東京で救急医として働く白石咲和子(吉永小百合)は、治療中に医学生の起こした事件の責任をとって病院を辞め、父・達郎(田中泯)が一人で住む、故郷の金沢に帰り医師を続けます。勤務先は「まほろば診療所」。院長仙川(西田敏行)は、在宅医療の在り方について咲和子に説きます。咲和子たちがケアするのは、末期の肺がんを患う芸者、老老介護の夫婦、脊椎損傷の四肢麻痺を患うIT会社の社長、がん患者の女流囲碁棋士、末期のすい臓がんの元高級官僚、8歳の小児がんの女の子。それぞれが命と向き合い、やがてくるその日を受け入れていきます。
そんな中、咲和子に訪れたのは父の病の悪化。痛みに苦しむ父は無理な延命を望まずこう叫びます。
「許してくれ、自分の命はせめて自分で決めたい」と。医者として娘として心は乱れます。咲和子の下した結論は。
まほろばとは古語で、「素晴らしい場所」のこと。それは一体どこにあるのでしょうか。
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。