4人の役者のぶつかり合いに、揺さぶられる感情
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会
映画『ファーストラヴ』
監督:堤幸彦
出演:北川景子、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介 他
◎2月11日(木祝)からT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、
ユナイテッド・シネマ福岡ももち、イオンシネマ戸畑、
小倉コロナシネマワールド 他にて公開
映画のタイトルを目にしたときに、私の脳裏に浮かんだのは、島崎藤村の詩『初恋』。まだ上げ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき…。
ところが、スクリーン上にいきなり表れたのは、血がしたたり落ちる包丁を手に歩く女子大生・聖山環菜(芳根京子)。公認心理士の真壁由紀(北川景子)は何故か環菜の事が気になり、面会を求めます。環菜の弁護人はかつて付き合いのあった庵野迦葉(かしょう)(中村倫也)。彼は由紀の夫・真壁我聞(がもん)(窪塚洋介)と義理の兄弟。
由紀は環菜に接見した折、彼女の眼差しに自分と同じものを感じ、真実がどこか別のところにあるのではと思い始め、深く関わっていこうとします。最初に恋心を抱いた人はどんな人か、初恋の痛みとは? ひりひりする感覚で描かれていきます。そして少しずつ真実が見え始めていき…。
北川さんは髪を短く切りあの美しい顔を歪め、叫び、慟哭。芳根さんは狂う様(さま)を絞り出すような声と激しいまなざしで熱演、窪塚さんは今までのイメージとは違う温かく包容力ある太い演技を、中村さんは自らを抑えながらも、激昂するシーン等、一人ひとり新境地を見せてくれる作品です。役者魂に火をつけた堤幸彦監督のなせる技だと思いました。あなたにとってのファーストラブはいかがでしたか?
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。