見事に猫になった人間たちに拍手、そのひたむきな努力にブラボー
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映画『キャッツ』
■監督:トム・フーパー
■出演:ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、テイラー・スウィフトほか
■配給:東宝東和
◎1月24日(金)より福岡中洲大洋、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13、T・ジョイ博多、UC福岡ももちほかにて字幕版日本語吹き替え版同時公開
新しい年がスタートしました。私にとってこの号で担当1年になります。まだまだ未熟ではありますが、どうぞよろしくお願い致します。
今回は映画『キャッツ』をご紹介します。1981年のロンドン初演以来、全世界累計観客動員数8100万人、日本公演通算1万回を越す大人気ミュージカルの実写映画化です。読者の方にも舞台をご覧になった方が沢山いらっしゃると思います。実は私は舞台版を観た事がなく、今回初めてミュージカル映画として観ました。
始まってすぐ、素晴らしさに度肝を抜かれました。まずはそれぞれの衣装、メイク、所作。舞台では見せられない細かい演出が行き届いていて、どんどん「CATSワールド」に入り込んでいきます。アップで映し出される1匹1匹の表情、耳、尻尾…すべて猫らしい動きです。ミルクを飲むシーンがありますが、ここまでやるかという素晴らしい演技で、映画ならではと思いました。
ロンドンの路地裏で袋に入れられたまま捨てられる白猫。名前はヴィクトリア、今回の主人公です。英国ロイヤルバレエ団プリンシパルダンサーのフランチェスカ・ヘイワードが大抜擢。彼女の立ち姿を観た時、その完璧なプロポーションに「私に猫役は無理」と息をのんだほど。その後、ふとっちょ猫ちゃんも登場、大丈夫かも知れないと思った次第です。個性豊かな猫たちが勢揃い。ぐーたら猫、マジシャン猫、欲望の塊でお尋ね者の猫、誰からも愛されない孤独猫、そしてすべての猫たちから尊敬される慈愛に満ちた長老猫他、人間社会にも通じる性格の猫たちです。
そんな中で、臆病なヴィクトリアは少しずつ生き抜いていく力を学び始めます。その表れが弱者を救済する為に、自分が勇気をふるって権力に立ち向かう事。誰からも愛されない孤独猫を仲間に入れようと頑張るヴィクトリアを、長老猫は見ています。この長老猫を演じているのがジュディ・デンチ。どんな役をも見事にこなす私の大好きな女優さんです。『恋に落ちたシェイクスピア』ほか数々の話題作に出演。素晴らしい貫禄猫です。
あの名曲『メモリー』は劇中何度かのシーンで唄われますが、それぞれのシーンで感動してしまいました。特にラストシーンでの歌唱は深く心に残ります。
寒い夜、暖かな気持ちで家路につきました。
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。