偕老幸男さんと悦子さん夫婦が遺言書について話をしています。悦子さんの知人女性は夫の死後“全財産を妻に”と記した手書きの遺言書を見つけました。しかし、その遺言書には日付がなく、無効だということが分かりました。女性は夫の兄弟と遺産を分割しなければならなくなり、やりとりや手続きに奔走しているそうです。「私たちはこうならないよう、しっかり準備しておきましょうよ」。偕老さん夫婦は遺言書の準備を始めました。

point1 遺言書、私も書くべき?
遺言書は決して“資産家だけが書くもの”ではありません。家族の仲が良くても、財産が複雑でなくても、遺言書を書かなかったことで、残された大切な人に大きな負担をかけたり、相続人の間でトラブルになってしまうこともあります。

■白浜FPのアドバイス 子どもがいない夫婦だからこそ遺言書を
子どもがいない夫婦の場合、遺産は全て配偶者へ渡ると思われているかもしれません。しかし、配偶者のほかに、亡くなった人の①親②兄弟姉妹がこの順番で法定相続人となるため、夫の遺産全てを配偶者が受け取れない可能性もあります。
point2 手書きの遺言書は無効になることもあるの?
一般的に用いられる遺言書には、大きく2種類があります。遺言者自身が手書きで書く「自筆証書遺言」と、公証人が遺言者の口述した遺言の主旨を筆記して公正証書として作成する「公正証書遺言」です。
自筆証書遺言は、一定の要件を満たしていないと無効になることがあります。公正証書遺言は費用がかかるものの、作成時に有効性を確認のうえ保管されるので、無効になる心配はありません。

point3 遺言書を作ったらもう大丈夫?
たとえ有効な自筆証書遺言があったとしても、自治体への死亡届の提出、相続人の調査・確定、遺産の調査・確定など、すべきことは多岐にわたります。自宅保管の自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で遺言書の内容を明確にする「検認」の手続きも必要です。さらに相続人の間で争いが起きた場合、かなりの時間と労力、精神的負担がかかってしまいます。
■白浜FPのアドバイス 相談できる専門家がいると安心
遺言書は、自身の財産を誰に譲りたいかを明確に伝えられる大切なツールです。残された者同士がもめる「争族」とならぬよう元気なうちに作成することをおすすめします。なお、遺言書は何度でも書き換え可能です。迷った時は、専門知識がある弁護士や司法書士、身近な金融機関等に相談すると良いでしょう。
大切な人への思いを形にしてきちんと残すために

逝去後の遺産に関する手続きは、相続人にとって大きな負担となります。西日本シティ銀行では、親族間だからこそ話しにくいお金についての相談、難しい遺言書の作成から保管、お亡くなりになった後の遺言の執行まで、担当者がしっかりサポートします。書類作成や手続きなど、わずらわしい作業も安心してお任せください。


白浜 仁子(しらはま ともこ)
fpフェアリンク株式会社 代表取締役
福岡市中央区今泉2-1-35
アプリーレ今泉703
TEL 092-753-9828

イラスト
まき りえこ
福岡市在住の漫画家・
コミックエッセイスト
近著に「子どもをネットに
さらすのは罪ですか?」