多様化する私たちの食とくらし
食材や食事を選ぶとき、どんなことを意識しますか? 世の中が豊かになったからこそ、自分や家族の健康のためだけでなく、生産者のため、地球環境のため、共生する動植物のため、といろいろなことを意識する人が増え、食スタイルが多様化しています。今までになかった選択肢が生まれ、さまざまな食に関する新しい言葉を耳にするようになりました。
一見自分には関係のないように思えることでも、言葉の意味を知ることで、自身の食生活の見直しやお店での食品選び、レストラン探しにも役に立つかもしれません。
食べたいものが食べられる、そんな時代になったからこそ、「食」についていろいろな角度から考えを巡らせてみませんか?
ローフード(RAW FOOD)
raw(生の)food(食べ物)のこと。つまり、 加工されていない自然の食材を生のまま、または加熱する場合は48度以下で調理し、生きたビタミン・ミネラル・食物酵素を丸ごと体内に取り入れようというスタイルです。生で食べることにより、植物の酵素や栄養素を効果的に取れて、代謝アップや便通改善、デトックス効果も期待できます。
ファイトケミカル(PHYTOCHEMICAL)
ファイトケミカル(フィトケミカル)とは、野菜、果物、豆類、芋類、海藻など、植物性食品の色素や香り、アクなどの成分から発見された化学物質です。植物が紫外線や昆虫など、植物にとって有害なものから自身を守るために作りだされたもので、代表的なものにポリフェノール、イソフラボン、カロテノイドなどがあります。感染予防や抗酸化作用、がんを予防する効果などがあるといわれていて医学面でも注目されています。
グルテンフリー(GLUTEN FREE)
グルテンを含む食品、つまり小麦を原料とする食品の摂取を制限する食事法です。本来、グルテンを摂取してアレルギー症状があらわれる人の体質改善が目的でした。海外の著名なスポーツ選手やモデルが実践し体質改善の効果が公表されたことで関心が高まりました。欧米ではグルテンフリーを謳うメニューや加工食品が増え、日本でも大豆などを使用した代替食品が流通するようになりました。
マクロビオティック(MACROBIOTICS)
玄米などの穀物を中心に野菜や海藻、豆など、日本の伝統食をベースとしたバランスの良い食事法のこと。「玄米菜食」「生食」などとも呼ばれます。海外セレブが実践していることでも有名です。発祥は明治時代に食医と呼ばれた石塚左玄が考案した食養。これに感銘を受けた桜沢如一が中国の易の陰陽の要素を加え確立しました。欧米名をマクロビオティックと名付け世界に広がりました。
ファスティング(FASTING)
英語のfast(断食する、絶食をする)という動詞の名詞形で断食、絶食を意味します。多くは、固形の食べ物を半日~数日間摂取しないことを指します。最近では体調管理や体内のデトックス、腸活や妊活を目的に実施する人も増えており、身体のリセット・整え方の1つとして注目されています。ただし、やり方を間違えると健康を損ねる場合もあるので、医師や専門家のもと行うのが望ましいです。
プラントベース (PLANT BASED)
plant(植物)とbased(由来)を組み合わせて作られた言葉で、積極的に植物由来のものを取り入れる考え方を指します。プラントベースフードは植物性の代替食品を総称する言葉で、これまでに肉や卵、ミルク、チーズなどの代わりとなる加工食品が、大豆や小麦などから製造されています。日本では生活習慣病の予防や糖尿病の改善など健康上の理由に加えて、「痩せたい」など美容目的で選ぶ人も増えています。
ヴィーガン(VEGAN)
ヴィーガンは「不可能でない限りで動物の搾取を避けるべきであるという主義」を表す“ヴィーガニズム”から派生した言葉です。肉や魚だけでなく、動物由来である卵や乳製品などが一切入っていないもの、それを口にする人を指します。世界のヴィーガンは人口の約1~3%いるといわれ、日本でも大手飲食チェーンを中心にヴィーガン対応のメニューを取り入れています。
※それぞれを善し悪しとするわけではなく、また、いずれかを推奨するものでもありません。