生涯非課税で投資ができる新NISA(少額投資非課税制度)が来年から始まります。
これを機に、投資信託を購入して、投資を始めてみようと考える人がいると思います。投資信託には、高い収益を求める運用から、安定した運用を目指すものまで、いろんな種類の商品があります。ただし、いずれも元本が保証されているわけではなく、リスクがあります。数ある商品の中から、自分にピッタリの投資信託を選ぶためには、どうすればよいのか?今回はそのポイントをお伝えします。
投資信託は「何に投資するか」でリターン(投資による収益)やリスク(収益のブレ、振れ幅)に大きな違いが発生します。株式型の投資信託は、相対的にリスクが高くなりますが、その分、収益は期待できます(ハイリスク・ハイリターン)。一方、債券型の投資信託は、株式型よりリスクは低くなりますが、その分、期待される収益も抑えられます(ミドルリスク・ミドルリターン)。このほか、株と債券の両方に投資するバランス型の投資信託もあります。バランス型は、安定した運用を望むなら、債券の割合が高いものを、収益を追及するなら、株式の割合が高いものを選ぶのが良いと言われています。
なぜ、投資するのか?
■まずは目的を明確に、目標額と運用期間を決めよう!
白浜仁子FPの事務所に、2組のお客さんが訪ねて来ました。財成高利(55)、安心(52)夫妻と、生まれたばかりの息子を連れた積立有利さん(30)。財成家と積立家は、来年1月の新NISAのスタートを見据え、積立投資を始める計画です。どちらも、いきなり同じ質問をしています。さて、その質問とは……
白浜さん、早速ですが、オススメの投資信託を教えてください。
待ってください。まず、なぜ投資を始めるのか、それぞれの目的を教えてください。
主人が5年後に定年を迎えます。2人でヨーロッパ旅行に行きたいです。そのための資金づくりが目的です。
昨年、長男が生まれました。将来、大学に行ってほしいので、今からコツコツ教育資金を準備するつもりです。
毎月の運用額、運用期間、目標額を教えてください。
毎月3万円ずつ積み立てて、定年までの5年間で200万円を用意したいです。
毎月2万円の積み立てを行い、息子が大学に入るまで18年間運用します。目標金額は500万円です。
承知しました。
あなたのリスク許容度は?
■重視するのは、元本安定、値上がり益、それとも…
ご存じと思いますが、投資信託は元本の保証がありません。それぞれ、元本の安定と値上がり益のどちらを重視しますか?
定年旅行は一生に一度なので、ぜひヨーロッパに行きたいです。運用成績のよい投資信託を購入して、値上がり益を期待したい。目標額を達成できなければ、ヨーロッパは諦めて国内旅行にします。
大切な息子の教育資金なので、元本割れは避けないといけません。運用期間は18年と長いので、値上がり益にも期待します。元本安定と値上がり益の両方重視でお願いします。
よく分かりました。金融庁の資産運用シミュレーションを使って検索したところ、財成家は、年間の運用利回りが5%、積立家は同2%が必要ですね。これを元に分析してみると、財成家の資産の割合は、株式を多めに、積立家の資産構成は、財成家より株式を少なくして債券を多くします。
結果をまとめると、以下のようになりました。
運用方法は2つのタイプ
■平均点狙い「インデックス運用」、専門家の腕次第「アクティブ運用」
インデックス運用
投資の世界では「指数」を意味します。例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドを購入した場合、この指数を形成する225の会社の株に投資することになり、市場の「平均点」を狙う運用となります。
アクティブ運用
ファンドマネージャー(FM)などの専門家が市場の動向や企業の業績を分析して、積極的に構成銘柄の選別などを行い、平均点を上回る運用を目指します。調査や分析に手間がかかるので、インデックス運用に比べると、手数料は高くなります。
手数料か。投資信託には3つの手数料があったよね。
そう。買うときにかかる「購入時手数料」、持っている間にかかる「運用管理費用(信託報酬)」、解約する(売る)ときの「信託財産留保額」よね。
安心さん、よくできました。
やっぱり、手数料は安い方が良いですよね?
軽視できない運用管理費用
■運用期間が長くなると「ちりも積もれば山となる」高いリターンを得るための「必要な経費」
白浜FPアドバイス
手数料の中でも押さえておきたいのは、投資信託を持っている間、毎日差し引かれる「運用管理費用」だと思います。運用期間が長くなるほど影響度が大きくなります。ですから、運用期間が18年と長い積立さんには運用管理費用が安いインデックスフファンドがお薦めかもしれません。
一方、運用管理費用は、高いリターンを得るための「必要経費」とも言えます。株式市場では相場の下落局面でも、上昇を続ける銘柄が存在します。そうした優良銘柄を見抜いて、平均点を上回る運用を目指すのがファンドマネージャー(FM)の役目。運用期間が5年間で年利5%という高い目標を掲げる財成さんご夫婦は、FMの腕前を信じてアクティブファンドを選択する手もあると思います。
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イラスト まき りえこ
福岡市在住の漫画家・コミックエッセイスト近著に「実家が放してくれません(集英社)」
白浜 仁子(しらはま ともこ)
fpフェアリンク株式会社代表取締役
福岡市中央区今泉2丁目1-35 アプリーレ今泉703
TEL 092-753-9828
2023年12月号のテーマは「これで安心 新NISA」です。