「仕掛人・藤枝梅安」人気時代小説を映画化
映画『仕掛人・藤枝梅安』
2月3日(金)よりユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、
福岡中洲大洋、小倉コロナシネマワールド、T・ジョイ久留米 ほかにて公開
時代小説の大家・池波正太郎の代表作「仕掛人・藤枝梅安」が二部作で映画化され、2月3日(金)から順次公開されます。これまでに様々なクリエーターによって何度も映像化されてきた名作ですが、今回は新しい「新時代劇」に仕上がったと言います。主人公の藤枝梅安を演じる豊川さんは「映像や音のアート性も漂う作品。ぜひ映画館で味わってほしい」と力を込めます。
周りに慕われる鍼医者でありながら、生かしておいては人の為にならない悪を葬る仕掛人。豊川さんは「ダークヒーローが僕の中のキーワードだった」と撮影を振り返ります。
「鍼医者として人を救う仕事をしているが、梅安はやはりダークサイドの人間です。そこをしっかりわきまえながら演じました。人間ははっきりと白黒を付けられない存在で、善いことをしながら悪いことをすることもある。梅安はそれが人間的な魅力につながっているのではないでしょうか。映画の中でも『梅安さん、梅安さん』とたくさんの人から慕われています」
豊川さんは今回の作品を「新時代劇」と位置づけ、映像内に新しくチャレンジした要素がたくさんちりばめられていると話します。
「池波先生の原作は今読んでも全く色あせていません。それをいったん解体して映画として再構成することが非常にうまくいったと思います。斬新でトリッキーな展開です。エンターテイメントの映画でありながらアート作品のような仕上がりになっています」
裏表を併せ持つ主人公 現代へのアンチテーゼ
全く異なる裏と表の顔を併せ持つ主人公。豊川さんは、現代社会にも通じるものがあると考察します。
「映画では、法が法としての役割を果たさない時代に身銭を切って恨みを晴らそうとする人たちが登場します。善いことと悪いことは紙一重だし、現代にも通じるものがあると思います。今は正解が見つけにくい時代です。答えの幅が狭くなり、みんなが模索を続けている。そんな時代に藤枝梅安という物語は一つのアンチテーゼを示してくれるような気がします」
福岡を訪れることも多いという豊川さん。新しい時代劇のファンが増えてくれることに期待を示します。
「九州、福岡は日本の中でも独特のカルチャーを育んできたエリアだと思います。優れた俳優やミュージシャンをたくさん生み出すエネルギッシュな土壌があると感じています。ぜひとも劇場を訪れて、この新時代劇のアート性を楽しんでいただきたいです」
向井大豪=文
text:Daigou Mukai