放射線技師の活躍描く 人気ドラマが映画化
Ⓒ2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
映画『劇場版ラジエーションハウス』
監督/鈴木雅之
出演/窪田正孝、本田翼、広瀬アリス、山口紗弥加、遠藤憲一 他
配給/東宝
◎4月29日(金祝)よりTOHOシネマズ天神・ソラリア館、TOHOシネマズ ららぽーと福岡、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13、シネプレックス小倉、T・ジョイ久留米他にて公開
医師ではなく、放射線技師という裏方の人々を描いた異色の医療テレビドラマ『ラジエーションハウス』の劇場版が公開されます。主役の天才放射線技師・五十嵐唯織を演じるのはドラマでも唯織役を演じた窪田正孝さん。劇場版の話を聞いたときは不安が大きかったそうです。
「これまでドラマの題材としてずっとやってきたので、映画化することに不安がありました。監督に尋ねると、ラジエーションハウスは医療物だからコロナを無視したくない。だからこそ感染症を題材にしたいと。その上で、ドラマだけでは描けないものがあり、映画化することで描けるものがあるということを話してくださいました。現場に入って、みんなで一つの物語を映像に残していく作業をしていくうちに夢中になっていて、不安なことを考えなくなっていましたね」
感染症を題材にした作品を撮る価値
劇場版では離島で起こった謎の感染症と、一組の夫婦の物語が軸となります。夫役を演じたのは山崎育三郎さん。山崎さんとの共演について窪田さんはこう語ります。
「いっくん(山崎さん)は作品を広い視野で見て、監督の求めているものを的確に捉える方です。僕が演じる放射線技師は、病院内の目立たない場所で、どうすれば病気が写るかと、必死でレントゲン写真を撮っている人たちです。やっていることがすごくシンプルなんですよ。それを映画として、インパクト強く撮るということがとても難しい。だからこそ、技師たちの力で救われた患者さんの表情を通して、僕ら技師の価値が初めて生まれます。その表情を、今回はいっくんが表現してくれていて、僕らの在り方が成立しているのだと思います」
また、この作品が企画されたのも、公開されるのもコロナ禍の中。劇中では、原因も対処法も分からない感染症に奮闘する技師たちの姿が描かれています。これは、現実世界で新型コロナウィルス感染症と対峙(たいじ)する医療関係者の姿とも重なります。
「2020年から始まったコロナ禍のことは、誰にとっても忘れられない数年間になるでしょうし、今後の歴史にも残る出来事ではないでしょうか。その渦中で、感染症ということを題材にした映画を撮れたこと自体に価値があると思います。現実のこともすごくリアルに反映されている気もしますね。こういう時代があったということを残せる作品です」
人と人との距離が離れるこの時代に、助け合いや絆を描いた映画は、疲れた心を励ましてくれます。クスっと笑えるコミカルなシーンも盛り込まれていますので、どうぞお楽しみに。
山﨑智子=文
text:Tomoko Yamasaki