脚本の緻密さと役者同士のせめぎ合い
ⓒ2022「コンフィデンスマンJP」製作委員会
映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』
映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』
監督/田中亮 脚本/古沢良太
出演/長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、小手伸也 他
配給/東宝
◎TOHOシネマズ天神・ソラリア館、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13、
ユナイテッド・シネマ福岡ももち、シネプレックス小倉、T・ジョイ久留米 他にて公開中
だまされることがくせになる『コンフィデンスマンJP』シリーズの最新作『コンフィデンスマンJP英雄編』がついに公開! 本シリーズは2018年にテレビドラマから始まり、今回が映画版3作品目となります。大胆かつ奇想天外な作戦で大金や宝飾品を手にしてきた、腕利きのコンフィデンスマン=信用詐欺師のダー子、ボクちゃん、リチャードの3人。今回の「英雄編」では、これまで3人を支えてきた第4のコンフィデンスマンとも言える五十嵐がキーパーソンとなります。五十嵐役を演じる小手伸也さんに、作品の魅力を伺いました。
「コンフィデンスマンJPの一番の魅力は、古沢良太さんが書く脚本の緻密さと大胆さだと思います。僕は古沢さんの脚本に負けない絵作りですとか、キャラクター作りをしていくことがすごく楽しいですね。ベースである脚本の完成度が高いので、それに応えつつも、古沢さんですら想像できなかった発想みたいなものを見つけることで、作品がより高まっていく感じがします。役者同士のせめぎ合いもすごくて、アドリブとかの相談もお互いに全然しないんですよ。作品自体はコメディーの要素もあるのですが、『そっちがそうくるならやってやるぜ!』みたいに、現場はヒリヒリしていますね(笑)。でも、そうやって全力でやっているけれども、足は踏み外さない。みんなちゃんと『ダー子ならこんなこと言わない』『リチャードはこう言う』みたいなことはふまえている。お互い手の内を明かさなくとも、相手が出しそうな技は把握している。すごいプロレスが行われていますよ」
いじられ役の五十嵐 ついに本領発揮!
『英雄編』では、当代随一の腕を持つコンフィデンスマンに受け継がれる「ツチノコ」の称号をかけて、3人の真剣勝負が繰り広げられます。舞台は、世界中のセレブが集まるマルタ島。スペイン人の元マフィアが所有する幻の古代ギリシャ彫刻をかけて争います。それぞれの方法で獲物に近づく3人の前に、警察やインターポールまで登場。五十嵐は3人の目をごまかし、1人暗躍し…。
「ようやく本来の五十嵐の役割を果たしましたね。五十嵐の元々の設定は、神出鬼没の腕利きコンフィデンスマン。そんなキャッチコピーがあるのに、面白ポジションと言うか、いじられおじさんみたいな役回りになっていました。そういう扱いが定番化する中で、本来の設定どおりに五十嵐がコンゲーム、つまりだまし合いを始めるにあたっての下準備や、潜入、情報収集で活躍をする。ようやく五十嵐の本当の姿が明確に描かれ、メインストーリーに押し上げてもらいましたね。そして、今回はだまし合い要素がシリーズの集大成のような仕上がりで、最高傑作だという気持ちがあります。すっかりだまされてしまうことの気持ちよさが半端ないですよ」
五十嵐の活躍、そしてダー子たちの仕掛け…。一体どこから、そして誰と誰が仕組んでいたのか。最高のコンフィデンスマンたちにだまされに行きませんか。
山﨑智子=文
text:Tomoko Yamasaki