身近な調味料の酢。
料理だけでなくドリンクにも使え、さらに健康維持にも役立つと注目されています。
知ればもっと好きになる、酢の魅力を紹介します。
酢を取り入れておいしく健康に
「お酢は疲労回復に良い」と聞いたことありませんか? これは酢に含まれる、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの効果。体がエネルギー不足になると、疲れを感じます。そのとき、それらの酸が、体に蓄えられている脂肪やグリコーゲンをエネルギーの元となるブドウ糖に変化させるのです。
また、酢酸には血管を拡張する働きも。体の末端まで血液が流れやすくなり、冷え性の改善が期待できます。エアコンで体が冷えがちになる、この季節にもうれしい作用です。クエン酸には血栓が出来にくくする働きもあります。
さらに、料理の際に塩の量を減らして、かわりに酢を使えば減塩することができます。酢を入れると、味がまとまりやすくなり、プロの料理人も隠し味として使っているそう。少量なら酸味もあまり気にならず、炒め物やコッテリとした煮物と相性がいいので、試してみてはいかがでしょうか。
切って、漬けるだけ。夏の調理を簡単に
スーパーに行くと、さまざまな種類の酢を目にすることができます。なじみのある米酢などはもとより、飲む酢、砂糖など他の調味料を加えた調合酢など幅広い酢の商品が充実しています。特に調合酢は、それ1本で味が決まる、家庭料理の強い味方。傷みが早い夏野菜も、切って調合酢に漬けるだけで簡単にピクルスや酢の物になります。野菜がたくさん手に入ったときの大量消費にも役立ちます。火を使わずに野菜をたっぷり摂取できるので、夏の料理にぴったり。酢を手軽に取り入れて、夏を元気に過ごしましょう。
酢の種類と特徴
バラエティー豊かな酢の中でも、代表的な4つの酢。
特徴などを知れば、使い分けのヒントになります。
■米酢
白米からできた酢。まろやかで、米独特の風味が特徴です。その中でも、アルコールなどを加えずに米だけを原料に作られたものは「純米酢」と呼ばれ、米本来の風味をより感じることのできる酢です。
加熱するとせっかくの風味が失われますので、酢の物など生食がおすすめです。
■穀物酢
小麦、トウモロコシなどの穀物から作られた酢。スッキリとした酸味で、風味は少なめ。癖がないので、素材そのものの味を生かすことができるのが特徴です。また、穀物酢の中でもキビ酢はサトウキビの汁から作られており、黒糖のミネラル、カルシウムが含まれています。
煮物など加熱調理に向いています。
■黒酢(玄米酢)
玄米から作られた酢で甕で作られる黒酢は「壺酢(つぼす)」とも呼ばれています。玄米の胚芽に含まれるアミノ酸が他の酢よりも豊富で、健康を意識する人に喜ばれています。
コクがある酢なので、中華料理やサッパリ煮などに合います。
※中国の黒酢とも言われる香醋(こうず)はもち米を原料にしたもので、日本の黒酢とは異なるものです。
■果実酢
果汁を発酵させて酢にしたもの。果汁特有の抗酸化成分なども豊富に含まれ、美容効果も期待できます。代表的なものにリンゴ酢やバルサミコ酢(ブドウ)などがあります。
フルーティーさが特徴で料理に使用する他、甘みのあるものは「飲む酢」としても人気。
真夏の酢アレンジレシピ
夏に試したくなる酢のレシピ。酢の力で暑い日々を乗り越えましょう!
■マリネ液
ドレッシングにもなるマリネ液です。
夏野菜を漬けておくと、長期保存も可能。
【材料】
リンゴ酢…100ml、
タマネギ(みじん切り)…1/4個
ニンニク(みじん切り)…1かけ、
オリーブオイル…大2、
塩…1つまみ、コショウ…適量
【作り方】
すべての材料を混ぜ合わせて完成。
■万能ごまダレ
冷しゃぶ、ドレッシング、冷やし中華などに活用できます。
【材料】
米酢(もしくは穀物酢)…大2、
練りごま…大3、醤油…大2、砂糖…大2、
塩…小1/2、水…大1、ごま…適量
【作り方】
すべての材料を混ぜ合わせて完成。
最後にごまをタレの上にかけると、アクセントになります。
■バルサミコ酢 on バニラアイス
ワンランクアップしたバニラアイスになります。
つい余らせがちなバルサミコ酢がアイスソースとして活躍。
【材料】
バルサミコ酢…適量、バニラアイス…適量
【作り方】
バニラアイスにバルサミコ酢をかけるだけ。
たっぷりかけてもおいしいですよ。
■即席!ゆずサワー
すっきり爽やかサワードリンク。
ゆず茶は、好みのジャムでも代用できます。
【材料】
黒酢…小1、ゆず茶(もしくは好みのジャム)…大2、水(もしくは炭酸)…150ml、氷…適量
【作り方】
グラスにゆず茶、黒酢、氷を入れて、水を注ぐ。
よくかき混ぜて完成。
取材・監修
一般社団法人国際食学協会 理事
下倉 樹さん
国際食学協会『食学調味料講座』監修者
調味料ソムリエ、ホールフードシニアマスター、
食育アドバイザー