今だからこそ自宅を彩る大切さ
自宅で過ごす時間が多くなった今年の冬。限られた大切な人を招くとき、また家族だけで過ごすとき、自宅がこれまで以上に大切な空間になっています。
そこでおすすめしたいのが、テーブルコーディネートをすること。少し手間をかけてテーブルを彩るだけで、いつもの見慣れたダイニングが特別な空間に変身します。華やかに彩られたテーブルは、見る人の心をときめかせ、ゲストへのおもてなしの一つに。思うように外出が出来ず気持ちが晴れない今だからこそ、同居する家族にとっても非日常のコーディネートは気持ちを明るくともすことに役立ちます。
食事のおいしさ感じさせるビジュアルの大切さ
テーブルコーディネートは、ただ美しいだけではありません。その実力を発揮するのは、食事やお茶の時間。食べ物や飲み物のおいしさを人が認識するとき、味や食感で判断できるのはごくわずか。おいしさを判断する最も大きな要素は視覚であり、ビジュアルによっておいしいかどうかの判断がほとんど決まるそうです。日本料理やフレンチで盛り付けが重要視されていることからも、その点は納得できるのではないでしょうか。簡単な料理やスーパーで買ってきた総菜でも、コーディネートされたテーブルで提供すれば、まるで一流店で食事をしているかのような満足感を味わえることも。こんなご時世だからこそ、周囲の人を幸せにするテーブルコーディネートが求められています。
実践重ねてつかむコーディネートのコツ
テーブルコーディネートには「難しそう」「お金がかかりそう」という印象がありますが、工夫次第で自宅にある物や、ホームセンター、百円ショップの商品でも十分に飾ることができます。はじめはコツがわからなくても、大丈夫。試行錯誤して繰り返していくうちに、小物の置き方や色のバランスをつかんでいきます。
おさえておきたいテーブルコーディネートのPoint
テーブルコーディネートのポイントを6つ紹介。
ポイントをおさえれば思ったよりも簡単にコーディネートを楽しむことができますよ。
■Point1 高さがあるものは中央に置かない
華やかさを求めると、背の高い花瓶など高さがあるものを配置しがち。ですが、目線よりも高いものがテーブル中央にあると、周りの人の顔を見るのに邪魔になり会話もしにくくなります。芸術性ではなく、家庭でのテーブルコーディネートでは「日常を彩るもの」ということを意識しましょう。
■Point2 使う色は4色ぐらいまで
さまざまな色を使うと、バランスをとるのが難しくうるさく感じることも。4色ぐらいまでを目安に色を選びましょう。
子ども向けのポップなイメージにしたいときは、たくさん使っても大丈夫です。
■Point3 季節感がある景色や写真をヒントに
四季がある日本では、季節感のある要素を入れるとセンスアップ。どんな風に取り入れたら分からないという場合は、季節を感じさせる景色や写真、文化をヒントにして。例えば、夏なら海をイメージした青や砂浜の白を入れたり、秋は紅葉をイメージした濃いオレンジや紅葉柄をポイントで入れてみたり…。自分が感じる季節の風景を思い描いてみましょう。
■Point4 テーブルクロスを敷く
テーブル全体を覆うテーブルクロスを敷くと、その色が占める割合が多くなりイメージが一気に変わります。白やアイボリーのクロスは他の色とも合わせやすいので、1枚持っておくと重宝します。また、化繊のものは汚れも落ちやすく、綿よりもシワがつきにくく扱いやすいのでおすすめです。
■Point5 ランチョンマットを使う
ランチョンマットは色や形がアクセントになるので、置くだけでおしゃれな印象に。初めは、テーブルクロス+ランチョンマット+花だけのコーディネートでもOK。食べこぼしなど汚れが心配という人は、塩化ビニルのものを選んで。食べ物が落ちてもサッと拭くだけできれいになります。
Point6 香りの強い物は置かない
大ぶりのカサブランカや鮮やかなバラの花などを飾りたくなりますが、テーブルの主役はあくまで料理。香りが強い花や物は、料理の匂いを邪魔しておいしさを半減させてしまいます。どうしても飾りたい場合は、テーブルから離れたリビングや玄関に。
まねしたくなる、冬のコーディネート
「デンマークの冬のヒュッゲ(家で自分を癒やす時間)」を表現したテーブルコーディネート。木工家具の名産地としても知られるデンマークをイメージし、ベースは木肌の色=ベージュのテーブルクロスをチョイス。また、夜が長いデンマークの冬を表した黒と、デンマークの国旗の色である赤と白をポイントに。
①中央の花瓶を受けている黒い木のトレイは、さりげないけれど大切なアクセントアイテム。これは百円ショップで購入したもの。
②造花の木の実。造花をいくつか用意していると、急な来客でも対応できます。最近の造花は精巧に出来ているので、そろえておきたいコーディネートアイテムです。
③複数のアイテムの色を合わせることで、全体的にまとまりのある印象になります。このコーディネートでは、黒いアイテムを多く使用。黒・白は違うメーカーであっても色の差が出にくいので、トータルコーディネートしやすい色です。
④お皿の上にナプキンを置くと、引き締まります。布製ナプキンがない場合は、紙ナプキンでも構いません。色は、他のアイテムにある色を使うと好バランス。また、白い色の料理が多いときは、白いお皿だと料理が映えません。料理の色合いに合わせて、お皿の色を選びましょう。黄色や緑色のお皿も料理をおいしく見せると言われています。
⑤平たいアイテムばかりだと、全体的にのっぺりとした印象に。邪魔にならない程度に高低差をつけ、立体的に見せて。このコーディネートでは、黒の升と板を組み合わせて使っています。自宅にあるもので創意工夫するのも、テーブルコーディネートの楽しみの一つです。
■お正月のコーディネート
和のイメージを出すために和紙を使用し、紅白の色使いでお正月を表現。ナプキンを水引で結べば、よりおめでたい雰囲気に。祝儀袋についているものを使えば、さまざまな飾り水引きを簡単にコーディネートに生かすことができます。
■簡単おもてなし料理
見た目は豪華に、でも実は簡単にできるおもてなし料理を紹介します。
デンマークの家庭料理「フレスケスタイ」
【材料】(4人分)
・豚ロース塊肉(ヒレ肉でも可)…600〜800g
・ローリエ…6枚程度
・クローブの実…6〜9粒程度
・タマネギ…1個
〈調味料〉
・砂糖、しょうゆ、酒、みりん…各大さじ3
【作り方】
①常温に戻した豚ロース塊肉の脂身のところに、切れ込みをいれる。
②ローリエの葉とクローブの実を塊肉の切れ込みに挟み、ハーブソルトを多めにふりかけてなじませる。
③200度に予熱しておいたオーブンで20〜25分焼き、その後160度に下げて60分じっくり焼く。
④小鍋にすりおろした玉ねぎ1個分、調味料を入れ煮立たせる。
⑤焼き上がった③を適当な大きさにカットし、お皿に盛り④のソースをかけて完成。
取材協力・監修
table deco
テーブルスタイリスト
藤岡久美子さん
福岡市中央区でテーブルコーディネートや
簡単おもてなし料理、テーブルフラワーの教室
『table deco』を主宰。