食欲の秋、到来!サンマに、栗や柿、かぼちゃ…。いろいろな食べ物がおいしくなるこの季節は、何を食べようかと考えるだけで楽しくなるものです。
今回は野菜のプロ、農家を取材し、この秋おすすめの食材であるヒシとナスについてお話を伺いました。最近は目にすることが少なくなったヒシと、とても身近な食材のナス。どちらも旬はこの季節。今だからこそ食べたいこの2つの野菜の魅力と、農家おすすめのレシピを紹介します。
ヒシ
①ヒシ農家の吉開敏己さん。水田には亀が入ってくることもあるので、
ヒシの実が食べられないように釣り針で亀を釣ることも
②「ヒシの実は鬼の顔みたいでしょ。一つ一つ違う表情なんですよ」と吉開さん
③水田から引き上げたヒシ。ヒシは水上に葉を出し、水中で実を実らせます
④ヒシは漢方薬の材料としても使われています。
吉開さんの自宅では健康のために皮を天日干しして、煮出したものを飲んでいるそう
ヒシを知っていますか? 湖や堀に自生する植物で、その実は秋の味覚として親しまれていました。近年は自生するものが少なくなり、ヒシの実を知らないという人も多いのではないでしょうか。現在、福岡県では柳川市と大川市で食用にトウビシという種類のヒシが栽培されています。柳川でヒシを栽培する吉開敏己さんを取材しました。
「ヒシの歴史は古く、その昔、アイヌの人たちが毒消しに使っていたとも言われているんですよ」と吉開さん。10年ほど前からヒシの栽培を始めたという吉開さんは、「ヒシの実から芽を出すのが大変」と語ります。
「11月の終わりから堀に入れておき、3月半ばに芽が出ると栽培用の容器に移し変え。芽が小さいうちは腐りやすいので、育ち具合を見ながら水位を調整するとですよ」
5月になり葉が出てくると、栄養分を与えるために土と水を張った苗代に移し、さらに大きくなると米用の水田の一部に移します。稲の横で大事に育てられるヒシの栽培は全て手作業。
「かがんでの作業が多いので、腰が痛くなってしまって(笑)。今年は台風で生育が遅れて、ようやく収穫できるようになりました。自然相手ですから、思うようにはならないですね」
ヒシの実は、栗のようにホクホクした食感と素朴な風味がどこか懐かしい味わいです。どうやって食べたらいいの?という方も安心を。吉開さんの奥さん、カズヨさんにヒシの食べ方を教えてもらいました。ヒシが収穫できるのは秋だけ。この時期ならではの味覚を食べてみませんか。
■農家直伝 ヒシレシピ
ヒシおこわ
【材料】
・ヒシ
・もち米
・クチナシの実
・水
【作り方】
①クチナシの実を半分に割り、
15分ほど水で煮出す。
②生のヒシを半分に切って、皮をむく。
③もち米を手早く研ぎ、
クチナシの煮出し汁を加え、
炊飯器内釜の目盛りが通常のご飯を炊くときより
少なくなるよう水を加える。
④②のヒシの実を数個入れる。
お好みで塩を少々加え通常通りお米を炊く。
ヒシの塩ゆで
オーソドックスな食べ方。お酒のおつまみにもGood
【材料】
・ヒシ
・塩
・水
【作り方】
①栗をゆでる要領で、鍋にヒシと水を入れ
25分~30分ゆでる。
☆塩を多めに入れてゆでれば、もっとおいしく!
■ヒシの実はどこで買えるの?
福岡県内のこだわりの食材を扱う百貨店やスーパーなどで取り扱いがあることも。また、JA柳川の営農センターでも柳川産ヒシを購入することができます。ヒシの販売は、気候などにもよりますが例年10月いっぱい。気になる方は早めに問い合わせを。
JA柳川営農センター
柳川市大和町栄360-2
☎︎0944-76-5155
ナス
①博多ナス農家の松藤圭一郎さん、香織さんご夫妻。明るく柔らかい笑顔が印象的な2人。
従業員たちと和気あいあい作業を進めていました
②取材の日は、大きくなっていくナスの重みで枝が落ちないよう
側面に張ったひもに枝を固定していく誘因作業が行われていました
③④整備された水耕栽培のハウスで実る博多ナスは、ツヤツヤとしてとてもきれい
⑤これから実をつけようとする2輪のナスの花。この撮影の後、
1輪の花に栄養をより行き渡らせるために、片方は間引かれました。
そうやって、大きくおいしい博多なすに育っていきます