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福岡市博物館開館30周年記念展 『ふくおかの名宝―城と人とまち―』

福岡市博物館開館30周年記念展 『ふくおかの名宝―城と人とまち―』


10月10日(土)~11月29日(日)

福岡の歴史を伝える名品の数々 暮らしや文化を多角的に紹介

 小次郎、敗れたり!巌流島で鞘(さや)を投げ捨てた小次郎に、武蔵が言い放ちました。史実はともかくも、鞘や鍔(つば)、柄がなければ刀は持ち歩けません。日本刀の外装が「拵(こしらえ)」です。

 写真の重要文化財『金霰鮫青漆打刀拵(きんあられさめせいしつうちかたなこしらえ)』は、名刀「安宅切(あたぎぎり)」のものです。鞘は青漆と金の薄板を鮫肌のように打ち出した装飾が施されていて、豪華絢爛な桃山時代のムードを伝えます。黒田如水は「安宅切」を戦陣で差していたと言われますから、武将たちの目を引いたに違いありません。国宝の刀「圧切(へしきり)長谷部」の拵も、江戸時代後期に同じデザインで作られています。

 黒田家に伝わるもう一つの国宝の太刀「日光一文字」が収められていたのが、『葡萄文蒔絵刀箱(ぶどうもんまきえかたなばこ)』です。ブドウの葉や蔓の装飾に、風格が漂います。「日光一文字」は、秀吉の小田原攻めの時、如水が降伏を仲介したお礼に北条氏から贈られたもので、この刀箱に入れられていました。天才軍師・官兵衛の面目躍如を示すものです。今回の展覧会は福岡市博物館の所蔵品を中心とした展示で、これらの刀と拵、刀箱がそろって鑑賞できます。

 如水が福岡と命名する以前から守り伝えられてきたのが、770年の歴史を誇る博多祇園山笠です。『博多祇園山笠巡行図屏風』は、祭を伝える最も古い絵で、17世紀後半に描かれたと言われています。中央には大きな飾り山を舁いている様子が、また右側には山を組み上げている場面が表現されています。櫛田神社と思われる鳥居もあります。今年は新型コロナの影響で延期されましたが、時代を超えて人々の熱気が伝わる屏風絵です。

 福岡市博物館は、アジア太平洋博覧会のテーマ館として利用された後、平成2年10月に開館しました。以来30年。所蔵品は、黒田家ゆかりの宝物をはじめ17万件余りに上ります。

 令和に移っても福岡は変貌を続けています。先人たちがこのまちに残した足跡を訪ねてみてはいかがでしょうか。

重要文化財 金霰鮫青漆打刀拵
(附 重要文化財 刀 名物 安宅切)

国宝『葡萄文蒔絵刀箱』
(太刀 名物 日光一文字 附)


繁竹治顕

元NHK記者。’93年全米オープンゴルフ、’94年リレハンメル冬季五輪、2000年シドニー五輪などを取材。福岡放送局広報事業部長、副局長。現在、九州国立博物館振興財団専務理事。西南学院大学非常勤講師(ジャーナリズム)

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九州国立博物館

文化交流展:特集展示 しきしまの大和へ 奈良大発掘

土偶 縄文時代晩期
紀元前約10~4世紀
橿原考古学研究所蔵

~12月20日(日)
●一般  700円   
●大学生 350円   
●高校生以下・18歳未満および
満70歳以上無料
休館日/月曜(ただし9月21日(月祝)、
11月23日(月祝)は開館、9月23日(水)、
11月24日(火)は休館)
☎050・5542・8600(ハローダイヤル)

福岡市博物館

ふくおかの名宝 ―城と人とまち―

博多祇園山笠巡行図屏風(部分)
江戸時代前期 作者不詳

10月10日(土)~11月29日(日)
●一般・高大生 700円    
●中学生以下無料
休館日/月曜(ただし11月23日
(月祝)は開館し、24日(火)は休館)
☎092・845・5011

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