しなやかに動く 体づくり
夏の暑さや感染症対策のために、出歩くことや体を動かすことが減っていませんか?
運動不足が続くと、体力低下や生活習慣病など様々な影響が心配になるもの。
そんな方におすすめの英国発エクササイズをご紹介します。
■年齢問わず楽しめる 英国発エクササイズ
英国発エクササイズ『マーガレット・モリス・ムーブメント(以下MMMに略)』は、自宅でも気軽にできる運動法。MMMが誕生したのは、1900年代初めの英国。マーガレット・モリスというモダンダンスのパイオニアによって考案された、モダンダンスとエクササイズの要素を融合させた健康メソッドです。ダンスやエクササイズと聞くと、「運動が苦手」「年齢的に難しそう」と感じることもありますが、MMMの教室には90代の生徒も通うなど、年齢や運動経験を問わず気軽に取り組むことができるエクササイズです。
■無理せず続けられる 解剖学に基づいた動き
考案者であるマーガレット・モリスは理学療法士でもあったことから、MMMの動きは解剖学を元に作られており、無理のない動きで全身にアプローチすることが特徴です。人によっては簡単で物足りないと感じることもあるかもしれませんが、日々体を動かし継続することが大切。反対に動きに慣れない、難しいと感じる人は無理をせずに自分のペースで、出来る範囲で楽しむことに重点を置きましょう。「この部位が伸びている」「これ以上はきつそう」と、自分の体の声を聞くように体を動かすことを意識することがポイントです。少しずつ出来るようになれば、体の改善を感じることができ、さらに毎日のエクササイズが楽しい時間となります。
MMMの動きは、ウォームアップ、姿勢、呼吸、バランス、各部位の運動、全身運動から成りますが、今回は自宅で取り入れやすい動きをピックアップしました。体調や気分に合わせてお休みをしても、行うエクササイズの種類や回数を減らしてもOK。無理のないように続けましょう。
目覚めの準備運動
朝、目が覚めても体はまだ寝ています。いきなり動くと体がびっくりしてしまうので、
起き上がる前に準備体操をしましょう。
このエクササイズをすると、体がほぐれて動きやすくなります
1 あおむけの状態で、肘から上を立て手首をブラブラさせる。ほぐれてきたと感じたら、腕を下ろす
2 両膝の頭が同じ高さになるように、膝を立てる。力を抜き、脚全体を小刻みに震わせる
3 膝を立てた状態で、腕を上げブラブラさせる
4 ①息を鼻から吸いながら腕を横に開く
②息を口から吐きながら腕を元に戻す
5 息を吸いながら両腕を床と垂直になるように上げ、左右に開きながら腕を下ろす。
息を吐きながら腕を閉じる
6 片膝を両手で抱え、10秒程度静止。脚を入れ替えて反対側も同様に。
このとき力を入れないことがポイント
7 両脚を伸ばし、脚の付け根にある大きな血管を温めるイメージで両手を添える。
脱力した状態で脚全体を左右にブラブラゆする
8 両脚をお腹の上で丸め、手で膝頭を持ち、脚を前後に軽く揺らし、左右にもゆっくり揺らす
9 脚を床に下ろし、片脚を上げ膝裏を両手で支える。
上げている方の脚の力を抜き、ブラブラ揺らす。反対側も同様に
10 一度脚を床に下ろし、片脚ずつ両脚を上げ、膝裏を手で支えてブラブラ揺らす。
その後、膝を折り曲げた状態で、バタ足をする
11 足の裏を床につけ膝を立てた状態で、膝を左右に倒す。
このとき、足の裏が床から浮かない範囲で動きましょう
12 脚を伸ばして、脚の付け根に手を当て、脚を左右に揺らす。
ゆっくりうつ伏せになり、しばらく呼吸を整えて起き上がる
日々の運動
日常的に運動することを続ければ、それが健康習慣となります。
好きな音楽を流したり、鼻歌を歌いながら体を動かしましょう。
■背骨、肩甲骨、鎖骨、 肋骨、胸骨を動かすウォームアップ
① 腕と上半身の力を抜いて手を軽く振りながら、その場で軽く足踏み。膝は上がる範囲で高く上げないこと。1曲分(3分前後)の長さが目安
② 足を骨盤幅に開き、両足を真っすぐ前に向ける。息を吸いながら片手を自然と上がるところまで上げ、吐きながら下ろす。3回ほど繰り返し、反対側も同様に
③ 息を吸いながら、両腕をゆっくりと前に突き出し、左右に広げ、手のひらを下に向けて吐きながら腕を下ろす。3回ほど繰り返す
④ 息を吸いながら両腕を上げ、左右に開く。肩の高さまで腕が下りたら、息を吐きながら手のひらを下にし、腕を下ろす。3回ほど繰り返す
■膝と足首、股関節を動かす足の運動
① 椅子や壁などに手をつき、足を骨盤幅に開く
② 息を吸いながら膝を落とす。無理をせず、自然と止まるところまでで大丈夫。膝が内側に入らないように注意する。吐きながら元に戻す。これを4回ほど繰り返す
③ 両踵をくっつけ、脚の付け根を軽く外側に開くように意識する。このとき、膝と足の中指が同じ方向を向くように意識する。息を吸いながら膝を曲げ、腰を落とす。吐きながら戻す。これを4回ほど繰り返す
④ 足を骨盤幅に開き、息を吸いながら膝を曲げ、腰を落とす。吐きながら膝を戻す
⑤ 息を吸いながら踵を上げ、吐きながら踵を床につける。④⑤の動きを4回繰り返す
■背骨を動かす座ってできる運動
① 息を吸いながら腕を上げる。吐きながら、胸を斜め上に向けるように上体を反らす。このとき、首と頭を後ろにガクッと落とし過ぎないように気を付ける。動きに慣れたら3〜数回繰り返す
② 椅子に座り、息を吸いながら腕と胸を開き、吐きながら元に戻す
③ 手首を内側に返して、親指を外側にして両手を太ももの上に置く。息を吸いながら背骨を丸め、へそをのぞき込む。吐きながら、上体を起こし腕を下ろす。②、③を3〜数回繰り返す
④ 椅子に座ったまま、足を骨盤幅に開く。足の裏を床につける。息を吸いながら、片腕を対角線上に突き出し、上半身をねじる。吐きながら腕を外側に開き、下に下ろす。顔の向きは指先を見るように腕の動きに合わせて変える。3〜数回繰り返し、反対側も同様に
⑤ 息を吸いながら腕を上げて、吐きながら肩を落とす。吸いながら、顔を上に向けながら上半身を左右どちらかに無理のない範囲で倒す。吐きながら戻す。2回繰り返し、反対側も同様に
■股関節の運動
① 足を開き、力を抜いて腰を左右に揺らす。手を壁などについて行ってもOK
② 股関節の上にお皿を乗せて回しているイメージで腰を回す。大きく回す必要はないので、イメージを大切に
■軸足を鍛えるバランスの運動
① 椅子や壁に手をかけ、息を吸いながら片足を上げる。軸足に沿わせながら、ゆっくりと上げることがポイント。吐きながら下ろす
② 息を吸いながらつま先が後ろを向くように片膝をゆっくり曲げる。このとき膝が軸足よりも前に出ないように気を付ける。吐いて戻す。①、②を3〜数回繰り返す。反対側も同様に
③ 両かかとをつけ、足の付け根を軽く外側に開くように意識する。息を吸いながら軸足に沿って片足をゆっくり上げる。吐きながら下ろす。3〜数回繰り返し、反対側も同様に
日常生活でできる健康習慣
◎テレビなどは、正面から見ましょう。体を斜めにして見ると、姿勢が悪くなってしまうこともあります。
◎下に置いてあるものを取るときや顔を洗うときなどは、腰だけを曲げるのではなく、膝も曲げて。足腰の曲げ伸ばしが筋肉トレーニングになります。
◎体調に問題がなければ、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うようにして、足腰を鍛えましょう。
◎体は緩めて使うことを意識して下さい。力を入れ続けていると、筋肉もこわばり、心まで緊張してくることも。リラックスして動きましょう。
監修/室 結実子氏
マーガレット・モリス・ムーブメント英国公認講師
マーガレット・モリス・ムーブメント歴40年。本場英国にも30回以上わたり、英国サマースクールでも指導。近年はテレビの情報番組でもMMMの魅力を伝えています。西日本新聞TNC文化サークル「アイ&カルチャ天神」にて「ゆっくり生涯運動(MMM)」を開講中
☎︎092-721-3200(アイ&カルチャ天神)