遺産相続について早めに対策したほうが良いと感じながらも「自分はまだ元気だから」とか「家族同士で話す機会がない」などの理由で、何もしていない人が多いのではないでしょうか?「人生100年時代」と言われますが、事故や病気などは突然やってくるものです。また、生きていても、認知症などで正常な判断ができなくなると、遺言書の作成や不動産の売却が難しくなります。「備えあれば、憂いなし」。今月は相続の基礎と対策について学びましょう。
法定相続分の順位
イラスト まき りえこ
■法定相続人とは
民法で定められた被相続人(本人)の財産を相続できる人のこと。配偶者は常に相続人となる。それ以外は、イラストにある順位で相続人になる。内縁関係の人は相続人に含まれない。
■法定相続分とは
民法で定められた相続の割合を指す。ただし、遺言書があれば、相続できる人は法定相続人に限らない。つまり、遺言書の内容が優先され、法定相続分にとらわれずに財産を分けることが可能になる。しかし、法定相続人には「遺留分」という一定の金銭を請求できる権利があるため注意が必要。
法定相続分と遺留分
子、父母、兄弟姉妹がそれぞれ複数人いる場合は、上記法定相続分をその人数で按分します。
「家族仲が良いから、相続トラブルはない」って本当?
財成高利・安心夫婦のご近所さんで、お付き合いのあった鴛(おしどり)太郎さんの遺族がもめています。鴛さん夫婦には、子どもが2人。家族はとても仲が良く、だれもがうらやむほど強い絆で結ばれていました。しかし、3年前に妻が旅立って間もなく、太郎さんは認知症と診断され施設に入居。妻の後を追うように亡くなりました。その後のことです。残された子どもが遺産をめぐって争うようになりました。
鴛さんの長男と長女が遺産相続でもめていると聞いたけど…。
ええ。遺産分割で意見が対立しているそうよ。とりわけ、福岡市の実家の扱いが最大の難問。同居中の長男は自分の家族がこの家に住み続けることを希望しているけど、長女は家を売って代金の半分を受け取ることを主張しているみたい。
預貯金や有価証券と違い、不動産は簡単に分割できないからね~。厄介な話だ。
家庭裁判所が調停に入っているけど、双方とも一歩も譲る気がないみたい。解決には時間がかかりそうね。