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福岡麺人生73杯目・東京の豚骨しょうゆラーメン ホープ軒本舗

福岡麺人生73杯目・東京の豚骨しょうゆラーメン ホープ軒本舗


「ホープ軒本舗」
東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目14-12
午前11時〜午前零時。第1、3水曜定休
中華そば750円

 福岡の出身でラーメンといえば、豚骨と思い込んでいた。大学進学で上京してもなお豚骨を求めた。たまに立ち寄っていたのが白濁した豚骨しょうゆラーメンで知られる「ホープ軒」だった。都内に何軒かあったが、最初に行ったのは、千駄ケ谷の店だと思う。食べ慣れた豚骨の安心感と、背脂が入ったスープの濃厚さ。胃袋は満たされていく…。

 そんな若き日の思い出を振り返っていると、新たな疑問が浮かんできた。豚骨は使えど、清湯スープが主流の東京なのに、なぜ白濁豚骨なの?

 ルーツを調べると、吉祥寺にある「ホープ軒本舗」が発祥だという。同社のホームページによると、創業者の難波二三夫さんは大牟田市の三井三池炭鉱で働いていたとある。「もしかして九州の人かも」との期待を胸に店を訪ねた。

 出迎えてくれたのは難波さんの長男で2代目の公一さん。「お酒でも飲みながら話しましょう」。いきなりの提案にたじろぐ私をよそに、ビールを飲みながら取材はスタートした。

 新潟出身の二三夫さんは昭和10年ごろ、「貧乏軒」を始めた。大正期から流行していた、豚骨や鶏がらを使った支那そばを出す貸し屋台と考えられる。その後は職を転々とした。雑貨売り、港湾労働をへて、炭鉱のある九州へ。ただ、そこでラーメンを本格的に学んだわけではないようだ。「料理を身につけたのは戦時中でしょう」と公一さんは話す。

 歩兵連隊に所属。大陸に渡ると調理役を担った。料理を覚えたのはいいが、人生は流転する。現地で捕虜になり、運良く逃げて帰国した後は、中国人になりすまして飲食店を出した。戦後は吉祥寺で「ホームラン軒」を始めて店舗展開するが、借金の連帯保証人となり全てを失う。再出発したのは屋台から。「一からの希望」との意味を込めて出したのが「ホープ軒」だった。

「初めて白濁豚骨を出した時、オレも働いていたよ」。5杯目の芋焼酎のグラスを手にしたころ、ようやく白濁の話題になった。昭和40年ごろのある日、公一さんと父親は、スープを強火にしたまま他の仕事に集中してしまい、ぐつぐつと濁らせてしまった。「もったいない」と店に出したのが、白濁スープの始まりという。九州の白濁豚骨も久留米「三九」の同じような失敗がきっかけだ。

「父は豪快な人だった」と難波公一さん

 今に伝わる一杯は、茶色がかった豚骨スープが黄色の丼にたっぷりと入る。九州のそれより濃度はなく、千駄ケ谷ホープ軒のような背脂感もない。とはいえ、ウエーブがかった麺がスープをまとって味はしっかり。若き日の記憶もよみがえってきた。

 初めのころは「濁っているのはスープじゃない。勉強しろ」と客から叱られたこともあった。一方、九州出身者から「九州の出か?」と言われたことも。公一さんにとって懐かしい思い出だという。

 屋台時代のホープ軒は広がりをみせた。屋台の貸し出し業が成功し、最盛期は100台以上が営業した。屋台からは、千駄ケ谷ホープ軒、環七沿いで人気を誇った「土佐っ子」などが巣立った。そこからは「弁慶」など背脂チャッチャ系と呼ばれる、さらに濃厚なラーメンにつながっていく。

 流浪の末、昭和53年に吉祥寺で店舗化したホープ軒本舗。東京豚骨しょうゆの発祥として、今はこの地にしっかりと根を下ろしている。

文・写真小川祥平

1977年生まれ。くらし文化部 次長。
著書に「ラーメン記者、九州をすする!」。「CROSS FM URBAN DUSK」内で月1回ラーメンと音楽を語っている。ツイッターは@figment2K

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