―今回の舞台について、演出もつとめられた段田さんから一言ずつコメントをお願いします。段田さんは主人公布引けいの夫、堤伸太郎役でもあります。
段田 素晴らしい脚本で、素晴らしい舞台になっていると思っています。新橋演舞場、南座と公演をしてきまして、最後の集大成として博多座のお客様に存分に楽しんでいただけるよう頑張りたいと思います。
大竹 2年前の初演のときよりも、今回の再演の方が深い芝居になっていて、往年の大女優・杉村春子さんが900回もおやりになった意味がとてもよく分かる毎日です。1日1日を大事にして、最後まで駆け抜けたいと思います。
―堤家の次男・堤栄二役の高橋さんはいかがでしょうか。
高橋 博多座は初めてですが、素晴らしい劇場ですね。先輩方の足を引っ張らないように誠心誠意込めて努めてまいりたいと、そういう所存でございます。
―叔父の堤章介役、風間さんお願いします。
風間 「博多座は本当に感動しますよ」と役者仲間からの声をずいぶん聞いてきました。この会見の後、通し稽古を行うのですが、本当に立派な劇場だと実感しています。これまでの他劇場の公演は全部舞台稽古だったということで(笑)、博多座が本番です。最高の作品に仕上がっています。ぜひ博多座で1人でも多くのお客様に見ていただきたいと、出演者一同自信満々でございます。
―それぞれの役について教えてください。
大竹 私は布引けいという女性の少女時代から老年期まで演じるんですけど、幕が変わるごとに年代も置かれている立場も変わって。1人の女性の一生を演じられる喜びがあり、そこがとても面白いです。それと、いいセリフがたくさんあって、そのセリフを言える喜びがあります。
段田 私が演じる堤伸太郎は割と好きなタイプですね。見どころは、私と高橋さんが学生服で出てくるのですが、2人ともおじさんなので学生服に見えないところでしょうか(笑)。それと、私の役もそうですが布引けい役もやってみたいと思えるほど、女の役も男の役も素晴らしくて。本当にうまく書かれた脚本だと思います。
高橋 私が今までやってきた中で、一番かっこいい役じゃないですか。主人公の相手役だということですね。でも、運命に翻弄されて2人が上手くいくか、いかないのかというところが、まずこの物語の肝でございます。
風間 私が出番の最初が32歳の設定ということで、高めの声で1幕2幕とやらせていただいて、だんだんに声の調子を変えて、七色の声を使う。これが私の見せ場でございます。その年齢の差を感じてもらえれば。みんな1人ひとりが楽しんでやっております。それが皆様にも伝わるはずでございます。ぜひ楽しんでください。
―前回の公演が2020年の公演で、京都公演が始まる前にコロナで中止になったそうですね。そこから2年がたち、再び幕を開けて感じられたお気持ちを教えてください。
大竹 前回のときは客席数を半分にして、笑い声も立ててはいけないと観る方も覚悟をもっての舞台だったんですけども、それでもこの客席を選んでくださった方のために芝居をしなければいけないという覚悟が私たちにもありました。
そもそもこの作品は終戦間際に初演を迎えていて、東京の大空襲があった後に、それでも芝居をみんなに見せたいとなぜ思ったのか。私たちもこのような状況下で、その当時の役者の気持ちを感じることができたことが、とても心に残っています。今回はお客様も笑い声をたてたり、反応してくださるので、前回とはまた違う喜びを持っています。でも初演のときの緊張感は忘れることができないと思います。
段田 2年前は何しろ制限があって寂しかったな、ということを覚えています。今回、100%の観客数で行って良いということで本来の姿に戻ったような嬉しさがあります。前回は宝物のような芝居を私が演出をするとは恐れ多い、ということで頭がいっぱいだったような気がします。今回は前回よりも少し楽に演じることもできるようになりました。そして以前は席が空いていると「空席があるじゃねぇの」とかえらそうなことを言ってましたけども、お1人お1人がおいしいものを食べられるくらいの金額を出してチケットを買ってもらっているということを、コロナ禍を経験してから余計にありがたく感じるようになりました。
高橋 初演のときは客席は1つずつ間を開けて、役者も出番が終わった人から退出していたのでカーテンコールはしのぶさんと僕の2人だけでした。今回は全員が並んでカーテンコールに出てこれたというのが、本来あるべき姿に戻りつつあるなと。盛り上がってきているなという気持ちがしました。
風間 今回、出演者全員が最後まで楽屋に残って、カーテンコールで並んでお客様にご挨拶するんですけども、そういうことをお客様が大変喜んでくださって。この博多公演でも全員が皆さんに感謝の気持ちを伝えて幕がおりるという形になると思います。そういうことがお芝居にとってとても大切なことなんだなと。来てくださったお客様に心から本当にありがとうと気持ちを込めて幕をおろしたい。そのような気持ちで舞台にのぞみたいと思います。
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舞台『女の一生』は11月30日(水)まで上演中。詳しくは博多座HPで確認を。
https://www.hakataza.co.jp/lineup/202211/onnanoisyo/index.php