春日市民図書館 司書:M.Sさん
天上の葦
●太田愛:著/KADOKAWA/角川文庫
白昼、渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、老人は天を指さしながら息絶えた…。そのメッセージとは何か? 人気ドラマの脚本家として有名な著者が描く上下2巻の長編です。冒頭から強烈な印象を与え、謎が謎を呼ぶ怒涛の展開。絶体絶命の危機が何度もおとずれるスリルとスピード感にページをめくる指が止まりません。現代社会に警鐘を鳴らしているのでは?と思える社会派サスペンス。ぜひじっくりと読んでみてください。
直方市立図書館 司書:吉峯和奏さん
マカン・マラン
二十三時の夜食カフェ
●古内 一絵:著/中央公論新社
元エリートサラリーマンにして今はド派手なドラァグクイーン(派手な衣装をした男性)のシャール。そんな彼女が深夜にだけ営業する不思議なお店、そこには様々な悩みを持つ人が集まってきます。作中に出てくる薬膳の知識も楽しく、「春のキャセロール」「世界で一番女王なサラダ」などシリーズ4作全て目次が魅力的。ずっと欲しかった言葉が落ちてくるようなシャールさんの優しさと強さ、心が温かくなる料理の数々、お守りのように手元に置いておきたくなります。
太宰府市民図書館 司書:上村恵子さん
大切なこと
●内田 彩仍:著/PHP研究所
30代でナチュラルな暮らしぶりが脚光を浴び、今なお多くの女性に支持されている人気スタイリストの著者。福岡県在住で私と同年代。一緒に歳を重ねている気分で読んでいます。50代になり、マンションから一軒家へ引っ越したり、病気をして出来なくなったことは手放そうと決意したり…、と著者の生活も変化しています。でも、センスが光る日々の過ごし方は変わりません。家で過ごす時間が増えた今こそ、大切なことを教えてくれます。