Ⓒ 2019 Polygram Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
映画『パヴァロッティ 太陽のテノール』
■監督:ロン・ハワード
■出演:ルチアーノ・パヴァロッティ、ボノ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス他
■配給:ギャガ
◎9月4日よりkino cinema 天神、シネプレックス小倉にて公開
感動の歌声とチャーミングな笑顔が今、よみがえる
今、私は1枚しか持っていないパヴァロッティのアルバムを聴きながら、パソコンに向かっています。
音楽は魔力。人を喜ばせたり、心軽く楽しくさせたり、怒りを増幅させたり、悲しみに陥れたり様々です。
歌声の力で多くのファンを勇気づけた歌手パヴァロッティ。その彼の全容をこの作品は描いています。没後13年、監督のロン・ハワードの執念とパヴァロッティ博物館館長(2番目の妻マントヴァーニ氏)の全面協力で、スクリーンに彼が蘇ります。
冒頭、1995年ブラジル、オペラハウスで歌う姿をホームビデオで撮影した映像でスタート。そこは、パヴァロッティ憧れのテノール歌手、エンリコ・カルーソが100年前に歌った場所でもあります。貴重なフィルムと彼のナレーション。前出の館長の協力がなければ、見ることのできない映像に心がトキメキます。
髭もじゃの大男のイメージが、チャーミングでお茶目なすてきなおじさまに映り、加えて、あの卓抜した声。どんどん引きずり込まれていく自分に戸惑いを隠せませんでした。
さらに多くの友人・知人・親族が貴重な証言を寄せています。中でも、あの3大テノールの公演がなぜ実現したのか。ドミンゴ、カレーラスがその経緯を語り、パヴァロッティのテノール歌手としての魅力を伝えます。
パヴァロッティのすごさの一つが、自分の活躍の場をオペラの世界だけに留めなかったこと。チャリティコンサートで英国ダイアナ妃と出会い、慈善活動に生きがいを見出します。
ロックミュージシャンと共演したことで、オペラ界からの激しいバッシングも。そんな中、ロックアーティスト“U2”のボノ氏と友情を育くむ様子がフィルムに収められ、とても興味深く思えました。
一方で、私生活においては素晴らしい奥様と可愛い娘たちに囲まれていたにもかかわらず、すてきな女性に出会うと、深い仲になってしまう彼。娘たちの忌憚のない意見に驚きました。しかし、エンドロールが流れ始めると私はある感情が湧いてきました。叫びたい、「ブラボー」と。
佐久間みな子
KBCアナウンサーからKBCシネマにも携わり、現在はフリーアナウンサーへ。会話塾の講師を務める他、コミュニティラジオ天神のパーソナリティとして活躍中。