きれいな景色を見ると、写真で残したくなるもの。
でも、いざ撮影した写真を見てみると、「あまり素敵に見えない…」ということありませんか?
そこで今回の特集では、弊誌の人気コーナー「おとなの風物詩」でもおなじみのカメラマン岡田信義さんに、風景写真を撮るコツを教えてもらいました。
この人に聞きました
カメラマン 岡田信義さん
福岡市美術連盟 理事
公益財団法人福岡美術協会写真部委員長
福岡をはじめ、全国各地の写真展の選定委員を歴任。18歳でカメラマンとなり、78歳を迎えた今も精力的に活躍中。
指南① 撮影ポイントを歩いて探す
撮りたい被写体を見つけたら、まずは付近を歩いて周りましょう。正面から撮った方がいいのか、脇から撮った方がいいのか。同じものを撮る場合でも、角度や距離によって見える表情は様々です。撮影ポイントを注意しながら探すことで、思いがけない絶好の撮影ポイントを見つけることもあります。撮影に行くときは、時間に余裕を持っていくことがおすすめ。
指南② 木や草花で額縁撮りをする
メインとなる被写体だけでなく、写真の端を縁取るようなものを入れると、より雰囲気ある1枚に仕上がります。おすすめは木や草花。自然が多いところであれば、比較的どこででも使える小道具であることも嬉しいポイントです。また、この額縁となるものが影となり逆光を遮る効果もあります。カメラを操作しなくても、光の調整が出来る裏ワザです。
指南③ どう見せたいか監督気分で考える
同じ被写体を撮るにしても、どのように表現したいのか。その写真の“監督”になることが大切です。
例えば、左の東屋も背景のビル群が映るように撮れば「都会の中のオアシス」のイメージに。ビルをあまり入れずに、東屋とグリーンだけが入るように撮れば「情緒ある場所」のイメージに仕上がります。自分が被写体をどういう風に感じたか、どう見せたいのか。写真で表現しましょう。
指南④ 風景写真は横写真で空間を広く伝える
風景写真を撮るときは、そこがどんな場所なのか空間を伝えることが大切です。このため、空間を広く伝える特徴がある横向きで撮影することをおすすめします。スマートフォンで撮影する場合はついつい縦向き写真で撮りがちですが、意識して横向きの写真で撮るようにしましょう。
■どんな時に縦向きで撮るの?
青空がきれいなときや雲の形がいいときなど、空をポイントにして撮影したいときは縦写真で撮りましょう。そのときの写真の黄金比率は、空7:地面3。空を意識して撮影しましょう。
指南⑤ アングルを工夫してみる
何気ない風景でも、目線を変えてみるだけで面白い表情を発見することも。例えば、被写体を低い位置から撮影するローアングルでは、下にあるものがアクセントになり、インパクトのある写真に仕上がります。
「誰も撮らないアングルを見つけてみるのも、撮影の楽しさですよ」
指南⑥ 被写体に当たる光と影を活かす
写真では光と影のバランスが何より大切。光が当たっている部分だけの写真だと、のっぺりとした平面的な写真になってしまいます。自分が立つ位置を調節して、光と影どちらも映り込む場所から撮影すれば、立体感ある1枚になります。
よりプロらしく撮るためには…
■岡田カメラマンからアドバイス
これまでの指南ポイントでは、カメラの調整が必要のない撮り方をご紹介しました。撮影に慣れてよりプロらしい写真を撮りたいという方は、一眼レフカメラで絞りを調節して撮影することに挑戦しませんか。私のおすすめはパンフォーカスで撮る写真です。
パンフォーカスとは、写真の手前にあるものから奥にあるものまですべてにピントが合っているように見せる撮り方。絞り(f)を22、露出を-1に設定して撮影してみてください。そうするとパンフォーカスで撮影が出来るようになります。最初は写真が暗く感じるかもしれませんが、じわじわとその写真の良さに気づいていただけるはずです。