15年が詰まったセルフタイトル
2年ぶりのフルアルバムのタイトルは、バンド名である『Ivy to Fraudulent Game』。
「15周年という節目でもあり、内容としても納得のいくものでしたのでメンバーと話して決めました。怒りや負のエネルギーを赤い炎のイメージで作ったミニアルバム『inside = RED』(2024年にリリース)のように、テーマが一貫しているものではなく、15年やってきた自分たちの引き出しをたくさん開けて作っているので。ある意味まとまりがないように感じるかもしれませんが、Ivy to Fraudulent Gameのいろいろな側面が詰まっている1枚だと思います。
1曲目の『song fot you』は、僕たちの音楽に触れてくれている人に向けての曲で、今までの自分たちの軌跡のようなことを歌っています。『silent scream』もすごく好きですが、福島由也が作った『BADBYE』という曲は、サウンドも言葉もIvy to Fraudulent Gameの原点ですね。今は僕も曲づくりをしますが、Ivy to Fraudulent Game結成から4~5年は作詞作曲編曲を福島が一人でしていました。結成の時から今も一貫して息づいているものがこの曲にはあると思います。いろんな事やってきたけど、昔からやってきた自分たちの世界観が現れています」
Ivy to Fraudulent Gameの2つの感性、福島由也の曲との違い
「福島は一つの真実を、僕は真実に対していろいろな角度の事実を歌う。福島はある意味ドライ、僕の方が人肌に近い感じがします。そのかわり福島の歌詞は、一点を突いてくるので、少し難しかったりしますが刺さる人には刺さるし、圧倒的な説得力があります。僕のはカジュアル。聞く人の印象で変わってくると思います」
曲作りは言葉のストックから
「思い浮かんだことは、とにかくメモをするようにしています。映画とか本とかで言い回しが素敵だなと思った時もメモとしてストックして、映画や本の中にある比喩の仕方は参考にすることもあります。たとえば『silent scream』の『この心に名前を誰もつけない理由を』というフレーズ。これはある本で「私の今思っているこの感情を言葉にならないし、したくない。言葉にはなりえない」という表現があって、心の中にある感情は全部名前がついているような気がするけれど、もっと感情と感情の間にグラデーションがあるなと思ったことからインスパイアされました」
表現方法と共感性
「良くも悪くもきれいに表現するのが好きで、否定するわけではないですが、流行り言葉を使うのが昔からあまり好きではないし、苦手。
歌詞は、解ってもらうことが目的になってはいけない気がしていて、その時に解らなかったとしても、どこかで解る気がするくらいの共感性があればいいと思います。僕はそういう詩が好きなので、あまり説明的なことを書くことはしない。生活に寄り添って聞く人の心に近づいていくような歌詞を書きたいですね」
聞く人によって印象を変える言葉選び。たとえば2曲目の『ブルーシアン』にあるフレーズ「想像していたよりも切られてしまった前髪とか」は、ある世代ではちょっとした怒りや悲しさの感情であり、別の世代では笑いであり、また達観した世代では、過去を思い出すトリガーになる― 寺口さんの歌詞には、〝過去”の曲であっても〝今”の感情を震わせる共感性が秘められています。
曲作りに通じる暮らしの中でのこだわり
「お風呂大好きです。嫌なことがあった時は、何をするよりもお風呂に入ると気持ちが楽になります。銭湯も知らない土地の方言が聞けたり近所の話が聞けたりするのが好きで、どこにでも同じような風景があって、いろいろなところに行っても自分の身近にあるものと似ているところを探しています。
あと、住宅街で夕方に漂ってくるお味噌汁や出汁の匂いがとても好き。夕方に住宅街を歩いて出汁の匂いを嗅ぐのがたまんねぇ!(笑)」
ツアーのセミファイナルとなる福岡。ライブの楽しみ方は?
「踊っている人もいるし、じっと聞いている人もいるし、振り付けがあるわけでもないので自分が一番気持ちいい温度で見てもらえたら嬉しいです。今回20本まわるので、少しずつ曲順とか姿を変えながら、セミファイナルの福岡は、脂ののった状態で届けたいです。
福岡には、あまり来ることができていないですが、僕らのことを知って集まってくれる人に特別感のあるライブをお見せしたいと思っています。
是非みなさんお越しください」
ツアー概要
Ivy to Fraudulent Game 15th Anniversary - BATTLES tour 2025 –
11/16( 日)【福岡】LIVEHOUSE Queblick
(福岡市中央区大名2-6-39 ジラソーレビルB1F / TEL : 092-725-8785)
OPEN 17:00 / START 17:30 ゲストあり
全席自由 4,300円(学割3,300円)
■問い合わせ:キョードー西日本 0570-09-2424