投資で利益を得る原則は、資産が安いときに買って高いときに売ることです。しかし、相場の上げ下げを見計らって売買し、短期間で利益を狙う「短期投資」でタイミングを当て続けることはプロでも難しく、大切なお金を増やす方法としてあまりお勧めできません。一方、10年、20年と時間をかけて資産形成を図る「長期投資」なら、値動きに一喜一憂する必要がないので比較的、投資を続けやすく初心者にもお勧めです。投資信託協会や金融庁も有効性を実証しています。なぜ、長期投資が有効なのか。相場に左右されない「長期投資」や「投資のコツ」について学びましょう。
投資期間別に見た株式投資の年平均収益率
(注)1962年から2021年に至る60年間について、各年の東京証券取引所第1部上場全銘柄の時価総額加重による配当込み収益率にもとづいて計算した。
出典:投資信託協会ウェブサイト
長期投資のメリットは?
オーエンの主人公である財成安心の兄・相場一八は今年、100万円で購入した投資信託が値上がりしたことから、早速、売ろうとする。だが、息子の慎太郎は、安易な気持ちで売らず、保持し続けた方がよいと説得するのだが…。
ワオー、俺の投資信託が15%も値上がりしたよ。早いとこ、売って利益確定するか!
お父さん、その投資信託は、将来の老後資金に充てる目的で買ったんじゃなかったっけ?
そうだけど。15%も上がったんだぞ、15万のもうけは大きいぞ~。
確かに大きいけど、何に使うの?
それは、これから考えるよ。
ダメだ~。白浜さん、長期投資のメリットを父に教えてください。
承知しました。
最大の強みは「複利効果」 アインシュタインも「人類最大の発明」と絶賛
■白浜FPのアドバイス①
長期投資の魅力のひとつは「複利効果」です。複利とは「運用で得た利益を再投資することによって、利益が利益を生むこと」を意味します。対義語は「単利」です。複利は元本と合わせて利益も運用されるため、雪だるま式に増えやすく、時間が経過するにつれて、単利との差が広がります。 下のイラストを見てください。
◦元金100万、年率3%で運用できた場合
100万円の投資信託が年利3%で運用できた場合のシミュレーションです。 単利では何年たっても、毎年の利益は3万円ですが、複利の場合、1年後には 元本が103万円に増えるため、2年後には6万900円の利益を生みます。 この利回りが続けば、10年後には、100万円の投資信託が134万3,916円になり、34万円のもうけが生まれます。
すごいよ、父さん!10年後には34%のもうけが出るんだって!
はい。想定通りに行けばですけど…。
10年は長いなあ~。今だと半分だが、15万円入る。
その増えた15万円も将来のためのお金なんですよね?長期投資は、将来の目的を達成するために行うものなので、そのお金が必要になるまで続けることが大事ですよ。
でも、まだ先のことだしなあ…
それ以外に投資のコツはありますか?
はい。説明します!
【人類最大の発明!?】複利とは? #複利 #NISA #積立投資 #つみたてNISA
https://www.youtube.com/watch?v=GMOatAK99jEお金に関する豆知識を中心に、みなさんのちょっと気になるを解決していきます。第134回目となる今回は、以前ABCashさんとのコラボで知ったかのアインシュタインが話したという「人類最大の発明は“複利”である」というその複利について、改めてバタさんに解説していただきます。■ABCashさんとのコラボ動画はこちら【初コ...
資産、地域、時間を分散することでリスクコントロールがしやすくなる
■白浜FPのアドバイス②
リスクをできるだけ抑えて大きな損失を被ることがないようにするには、分散投資をすることが大切です。分散のやり方は、資産クラスの分散、地域の分散、時間の分散の3種類です。
資産クラスの分散は、株式、債券、不動産など複数の分野に投資先を振り分けること。地域分散とは、例えば、先進国や新興国など投資先を分けるやり方。時間分散は投資のタイミングを分ける手法で、つみたて投資などがあります。
資産や時間を分散することで、全体の利益を平均化でき、大きな損失を避けることが可能になります。
■【ポイント】長期保有、金融庁が有効性実証
◦国内外の株式・債券に分散投資した場合の収益率の分布
(注)1985年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付けを行ったもの。各年の買付け後、保有期間が経過した時点での時価をもとに運用結果及び年率を算出している。
出典:金融庁ウェブサイト
異なる値動きをする資産の代表格が株式と債券(国債や社債など)です。株価が上昇している時は債券の価格は下落し、反対に株価が下落している時には債券価格は上昇する傾向にあります。逆の値動きをする資産同士を組み合わせることでリスクを低減させることが可能になると言われています。
「地域の分散」って分かりますか?
先進国とか新興国に資産を分けるんですよね。
正解、下の図を見てください。投資信託は、国際分散投資ができるのが魅力です。国の成長は、時代の流れとともに変化するため、同じ国がずっと好調とは限りません。ですから、一国集中ではなく複数の国に分けて投資するとリスクを抑えることができ
ます。また、株式だけ、債券だけ、など一つの資産に偏ることなく、複数の資産に分けることも大切です。
出所:IMF、世界経済見通し(WEO)2023年7月改訂版(実質GDP、年間の変化率、%)
うーん、やっぱ俺はインド一点買いだな!
お父さん、話聞いてた?
長期投資や分散投資についてご紹介してきましたが、留意点もあります。それは、長期的視点で運用をするため、すぐに現金を手にできないということ。決して無理をせず、当面使う予定のない余裕資金で行いましょう。
長期投資は、将来のための大切な資産を育てる上で重要な考えです。資金使途・目的に合った運用を行いましょう。
【相場急上昇】つみたてNISA増えたらどうする? #投資信託 #株式 #つみたてNISA
https://www.youtube.com/watch?v=L33pBwd3jeUお金に関する豆知識を中心に、みなさんのちょっと気になるを解決していきます。第137回目となる今回は、最近の株価の上昇にあわせて利益確定するべき?どうしたらいい?とお悩みの方必見です。そんな時の考え方をバタさんが解説します。MCバタさんみっちゃん◉動画内で紹介したFFG公式Instagramの投稿はこちらhttps...
イラスト
まき りえこ
福岡市在住の漫画家・コミックエッセイスト
近著に「実家が放してくれません(集英社)」
白浜 仁子(しらはま ともこ)
fpフェアリンク株式会社代表取締役
福岡市中央区今泉2丁目1-35 アプリーレ今泉703
TEL 092-753-9828
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