日本中で愛されるうどんはまさに国民食
外食でもお家でも、日頃から福岡県民になじみのある麺類といえばうどん。
ひと言で“うどん”と言っても太さや種類もいろいろで、ご当地うどんも各地さまざま。福岡のうどんも地域やお店により異なりますが、博多うどん、筑後うどんなど、福岡発祥のうどんは総じてやわらかいのが特徴です。“やわふわ”の麺は子どもから年配まで食べやすく、腹持ちが良いのも人気の秘密。
また、定番から今どきのアレンジうどんまで、バリエーションは無限大。その食べ方の豊富さも、ほかの麺にはないうどんの魅力です。
おいしくて楽しい自分で作る手打ちうどん
福岡にはおいしいうどん屋さんは数あれど、うどん麺を自分で粉から作ったことがある人はそう多くないのでは?
せっかくなので、この夏はうどん打ちに挑戦してみませんか? その材料や工程は意外とシンプル。生地を混ぜたりこねたり踏んだり…、ちょっとした運動やストレス解消にもなるかもしれません。
おいしいうどん麺の打ち方
職人は気温や湿度によって塩や水の分量、生地を寝かせる時間などをその都度調整しているので、素人には至難の業。
そこで今回、ベテランの職人が1年中いつでも同じ分量で作ることのできる初心者向けレシピを「ぐらんざ読者」のために考えてくれました。
■材料 (4〜5人分)
・粉(中力粉)…400g
・水…200㏄
・塩…20g
・コーンスターチ(打ち粉用)…適量
■準備するもの
・カップ(塩を溶かす)
・大きめのボウル(生地を混ぜる)
・破れにくい大きめのビニール袋(踏む用)
・生地を入れるビニール袋(熟成用)
・麺棒
■其の一 混ぜる
① 用意した水に塩を入れてよく混ぜて溶かす
② ボウルに中力粉を入れて、乾いた手でかたまりなどをつぶしながら混ぜさらさらにする(ふるいにかけたらなおよし)
③ ①の塩水を2/3ほど回し入れ、下から上に持ち上げるように、指先を立てて素早く混ぜる
混ぜる時の手
④ 全体になじんだら残りの塩水を入れさらに混ぜる
⑤ ぼそぼそのそぼろ状になったら、両手で押さえつけながら粘土をこねるように丸めていく
■其の二 足踏みする
① 適当に丸めたものを厚めのビニール袋に入れて踏む
かかとを使いまんべんなく踏みましょう
② 20回ほど踏んで平たく延ばしたらロールケーキのように巻き、再びビニール袋に入れて踏む(これを2回繰り返す)
③ 踏んで平たくなったものをビニール袋に入った状態のまま、約1時間常温において寝かせる
■其の三 丸めて寝かせる
① ビニール袋から平たい生地を取り出し、中心に印をつけ折り込みながら丸めていく
② 最後に中心部分を親指で押し込みながら転がし、形を丸く整えていく
③ 表面が滑らかになったら空気に触れないようにビニール袋に入れ、常温でひと晩寝かす(暑さが気になる時は冷暗所でもOKです)
■其の四 押し延ばす
① 台に打ち粉をしっかり振って、ビニール袋から取り出した生地を両手の付け根でぎゅーと押し、中心を厚く周りを薄く延ばす
② 生地と麺棒に打ち粉をして、手前からトントンと少しずつ麺棒を動かしながら押し広げていく
親指をそろえて麺棒を転がすと生地が均等の厚さに
③ 生地を90度ずつ回転させながら、何度か繰り返して30cm程度の大きさに延ばす
■其の五 巻きつけて延ばす
① 生地の上で麺棒を転がし、生地を巻きつけて延ばしていく
打ち粉はコーンスターチを使えば、生地がくっつきません
② 時々麺棒に生地を巻いたままの状態でドンと台に打ち付ける(そうすると生地が縮みにくくなります)
③ ①②の作業を何度か繰り返し、巻き付いたままの状態で麺棒をくるりと180度回転させ、麺棒を転がしながら生地を外して、再び手前から巻いて厚さ3mm程度になるまで同じ工程を繰り返す
■其の六 切る
① 生地に打ち粉をして、屏風状に折りたたむ
② 折りたたんだ生地を包丁で好みの太さに切る
③ 切った後は麺を1人前ずつつまみ上げて打ち粉をはらい、麺をやさしくほぐす
■其の七 ゆでる
① 大き目の鍋にたっぷりとお湯を沸かし、沸騰したらゆっくり麺を入れて噴きこぼれないよう弱火にして10分ゆでる
② ゆであがったらザルにあげ、流水で手早くしっかり水洗いする
温かいうどんでいただく時も必ず水洗いします
■できあがり
■教えてくれたのは
「たけ屋」創業者 加藤正明さん
創業42年。地元の人に愛される麺処。ふっくら引きのあるうどん麺と天然の昆布とカツオの風味を生かした上品なだしがウリ。
筑後うどんの魅力を広めるため、店舗ではうどん打ち体験も実施中(要予約)。
うどんの豆知識
■1 “うどん発祥の地”は博多?
博多祇園山笠の発祥地としても知られる「承天寺(じょうてんじ)」の境内には「饂飩蕎麦発祥之地」という石碑が立っています。
承天寺を開山(1241年)した聖一国師が中国から製粉の技術を持ち帰ったといわれています。
このおかげできめ細かい粉が作られるようになり「饂飩(うどん)・蕎麦(そば)・饅頭(まんじゅう)」などの粉物食文化が全国に広まりました。
■2 福岡は小麦生産量第2位!
福岡県は北海道に次いで小麦の生産量第2位で、日本における小麦の一大生産地。
福岡県と佐賀県とをまたぐ筑紫平野では稲作とともに小麦の栽培が盛んです。
今では福岡県産のラーメン用小麦「ラー麦」も有名ですよね。
福岡県産の小麦粉は量販店では流通していませんが、福岡県産の小麦を使用したうどん屋さんは多数あります。
■3 どうして福岡は“やわ麺”なの?
福岡では「ラーメンは硬麺、うどんはやわ麺」と言われますが、そもそもなぜ“やわ麺”なのでしょう。
博多は古くから商人の町として栄えていました。忙しい上にせっかちな博多っ子にすぐに熱々のうどんを提供できるよう、ゆで置きのやわらかい麺がうどんの定番に。その名残から、現在もやわらかい麺が多く提供されているといわれています。
編集部おすすめ 簡単うどんアレンジ
うどんは比較的どんな具も合わせやすいので、足りない栄養は具材で補いましょう。肉や魚などのたんぱく質や野菜を合わせることで、美味しさだけでなくより良い栄養バランスがかないます。
■ありものでできるおしゃれ麺 さば缶とトマトの冷やしうどん
トマト、さば缶(水煮)、きざんだ大葉、お好みの麺つゆを混ぜて冷たいうどんにかけるだけ。栄養価の高いさば缶のうまみたっぷり。
■打ち立てツルツル麺との相性抜群 中華風鶏塩うどん
市販の鶏がらスープの素を活用。鶏肉を鶏がらスープで煮てうどんを投入。食べる直前にごま油をかけるのがミソ。ごま油をナンプラーに変えるとフォー風に。
■ネバネバパワーで夏バテ知らず 冷やしネバネバうどん
オクラ、納豆、山芋のネバネバオールスターに卵黄をのせて、お好みの麺つゆをかけます。ネバネバ食材は、栄養豊富で食べ応えもある夏の救世主。
■熱々が旨い!スタミナたっぷり麺 スタミナ焼きうどん
お好きな肉と冷蔵庫にある野菜を炒めて、うどんと一緒に焼肉のたれを絡めます。焼肉のたれを使うから味に失敗はなし。たれの香りが食欲をそそります。
リメイクで大変身
■残った生地で
餃子の皮
生地を適当な大きさに丸め、手の甲でぎゅっとつぶし広げてから麺棒で薄くのばす。焼き餃子はもちろん水餃子もおすすめ。
みたらしだんご
生地を適当な大きさに丸めて10分ほどゆで、水気を切って薄く焼き色がつくまでフライパンで焼く。みたらしたれをかけたらやわらか団子のできあがり。
■残った麺で
グラタン
具やソースはいつものグラタンと同量で、マカロニ代わりに適当な大きさに切ったうどん麺を使用。一度食べたらもちもち感がクセになります!
チヂミ
刻んだうどんをチヂミの生地に混ぜ込む。多めのごま油で押し付けながら揚げ焼きにすると、中はもちもち、外はカリッと食感のチヂミが完成。
かりんとう
適当な長さに切ったうどんの水気をよく切り、片栗粉をまぶす。茶色になるまで油で揚げ、油をよく切ってからきび砂糖やきなこをお好みでまぶす。