金融機関が近年、最長35年だった住宅ローンの返済期間を40‐50年に延ばしています。住宅価格が上がる一方で低金利が続き、若い世代の住宅購入意欲が高まっていることも背景の一つと考えられます。
福岡でも西日本シティ銀行が2018年4月、「最長50年住宅ローン」の取り扱いを始めました。他行も住宅ローンの返済期間を最長35年から40年に延長しています。今月は「超長期住宅ローン」のメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
若い世代のマイホーム取得を応援
会社員の大夢は2年前に結婚し、共働きの妻と1歳になる息子の子育てに奮闘しています。現在、賃貸マンション暮らしですが、子どものために戸建て住宅を買おうと住宅展示場めぐりを始めました。しかし、最近の不動産価格の高騰にビックリ。「何とか良い方法はないか」と考えた大夢は、超長期の住宅ローンについて西日本シティ銀行の江熊さんに質問しました。
一軒家を内覧したら、家だけで3000万円。 ダッシュで退散しましたよ。
ダッシュしなくても…(笑)確かに、資材の高騰などでマンションも戸建てもお値段が高くなっています。
物価高騰がいつまで続くか不安。だけど、家は欲しいし…。
お気持ち、よく分かります。そんなお客様のご要望にお応えするため、当行は返済期間が最長50年の住宅ローンをご紹介しています。
「50年の住宅ローン」? 教えてください。
若いときは、お子様の教育資金や習い事、レジャー費などにお金がかかりますよね。ましてやこの物価高ですから、家計の負担は相当大きくなっています。「50年ローン」であれば、毎月の返済額を減らし、その分をほかに回せます。このローンは言わば、若い世代のマイホーム取得を応援する商品なのです。
毎月の返済負担が減るって、どれくらいですか?
仮にお客様が3000万円の住宅ローンを組み、金利0.975%で資金を借りたとします。35年返済なら、毎月の返済額は8万4337円、50年返済なら6万3194円。返済額は月に約2万円下がります。
ただ、返済期間が長くなると、支払うお金の総額も増える。悩ましいな~。
ご安心ください。余裕資金で随時、繰り上げ返済も可能です。当行はライフステージに適したサービスを提供する「人生まるごとサービス」を展開しています。
月々の返済減、総額は増 長い目でイメージを
住宅ローンの借入期間が長いほど、年収に占める返済負担率は下がります。ただ、金融機関から借りられる金額と実際に返済できる金額は別もの、注意が必要です。
確かに、超長期の住宅ローンは月々の返済額を抑えられますが、返済期間が長くなるため、繰り上げ返済をしなかった場合、総返済額は多くなります。定年までの貯蓄計画や退職金の額、定年後のワークプランを踏まえ、長期的な返済計画をイメージすることが大切です。
■白浜FPのアドバイス 上手に付き合うコツは…
金利が低いことから変動金利で借りる人の割合が多いようです。その場合、固定金利で借りたつもりで変動金利との差額を積み立て、将来の繰り上げ返済に充てるのも一手。金利上昇時の備えにもなります。
くわしくは、お近くの西日本シティ銀行の窓口へお気軽にお尋ねください。
イラスト まき りえこ
福岡市在住の漫画家・コミックエッセイスト
近著に「実家が放してくれません(集英社)」
白浜 仁子(しらはま ともこ)
fpフェアリンク株式会社代表取締役
福岡市中央区今泉2丁目1-35 アプリーレ今泉703
TEL 092-753-9828
オーエン×ぐらんざサポーター ~私たちは、皆さまの豊かな資産づくりを応援しています!~
2023年7月号のテーマは「投資を始める際の金融機関の選び方」です。