その日、必要な野菜をベランダや庭の菜園からもいで食卓に出す―。
気候が良い春植えの夏野菜なら家庭菜園ビギナーでも挑戦しやすく、そんな生活がかないます。夏野菜はキュウリ、トマト、ピーマンなどの果菜類(実や種を食べる野菜)が豊富なため、さまざまな料理に役立てやすいこともうれしいポイントです。初めての人でも大丈夫。今から植えれば、夏にはおいしい野菜が食べごろに!
■いつでも! 簡単!
青ネギは根がついているものを購入して、根本から3cmを植えればいつでも育てられます。
用意するもの
■野菜用プランター
通常のプランターよりも深さのあるプランターです。栄養を含んだ土をたくさん入れることができ、さらに水も多くためられるため実が大きく育ちます。
■野菜栽培用の土
初めから野菜づくりに適した肥料が入っています。ただ肥料の効果が持続する期間は1カ月間、3カ月間など商品によって異なりますので袋の記載を確認してください。期間が過ぎた後は、肥料を追加(追肥)していきましょう。
■鉢底石
プランターの底から土が流れ出さないように、土の下に敷きます。プランター底部にネットがついている場合は不要です。
■防虫ネット
春に現れる虫もいれば、夏に現れる虫もいます。虫の被害にあわないように、植え付けのときからネットをかぶせましょう。
■野菜の苗
種も販売されていますが、ビギナーの場合は苗を購入して植える方が、失敗が少なくすみます。
■支柱・ネット
トマトなど背が高くなるものは、風などで茎が折れないよう支柱を立てましょう。キュウリやゴーヤなどツル性の野菜の場合は、ネットを設置しておくと野菜自ら絡んでくれるので世話が楽。支柱の場合は、ツルを支柱に結び付ける必要があります。
支柱を立てる場合は、根を傷つけないために苗ポットが植わっている場所には刺さないように気を付けましょう。
植え方
1.鉢底石をプランターの底に敷きます。写真のようにプランターにネットがついていれば、必要ありません。
2.プランターの上端から3cm下くらいまで野菜栽培用の土を入れます。
3.苗ポットを土に植えます。植える深さは、苗ポットの表面がプランターの土よりも1cmくらい低くなる程度。最後に水をやると、プランターの土だけが沈んで同じくらいの高さになります。
4.鉢底から透明な水が出てくるまで、たっぷりと水をやりましょう。
育て方
■水やり
プランターの場合は、毎日水やりが必要です。地植えの場合は土が多い分、貯水量が多いため2日に1回で大丈夫。
あげるタイミングは朝が最適です。特に夏場は昼間に水やりをすると、土の中で水が湯になり根がゆでられている状態に。枯れてしまう原因にもなります。気温が低い冬なら昼間でも水やりは大丈夫ですが、反対に冷え込む夜に水をあげるのはやめましょう。
■芽かき
トマトなど実のなる植物は、茎と葉の付け根の間から伸びる「脇芽」をとりましょう。脇芽をそのままにしておくと、栄養が分散してしまい、実が大きくなりにくくなります。
■肥料
追肥するときにおすすめなのが、液体肥料です。規定通りに希釈したものを水まきのように土にまくだけなので簡単。
実がなる野菜や果物の場合は、実りだしたら2週間に1度は追肥を。ネギ、シソなどの葉物は3、4週間に1度で大丈夫です。
よく目にする緑色の液体は肥料ではなく栄養剤です。肥料は植物にとっての食べ物で、栄養剤はサプリのような存在。栄養剤だけでは十分に育ちません。
■日差し
西日があたる場所では、強い日差しが植物にとってダメージになることも。夏は日よけをしてあげましょう。
また、コンクリートの上にプランターを直置きしている場合、夏は跳ね返りの熱で熱くなり過ぎます。すのこを下に置くなど、コンクリートからプランターを離す工夫をしましょう。
土について
■生ごみコンポスト
生ごみをコンポストで堆肥に変えれば、ゴミも減って一石二鳥。コンポストの容器(コンポスター)は、雨よけのためのふたがあれば何でも構いません。
■作りかた
❶生ごみの水を切って、コンポスターに入れます。5cm以上ある大きい生ごみは、小さくした方が分解しやすくなります。
❷コンポスターの中が乾いているときは水を加えてください。握ったときにコンポストの内容物に手の跡がつく位の水分量になるよう調整しましょう。
❸上に腐葉土や庭の土などをかけます。(土に含まれる微生物がコンポスターの中に入る)
❹酸素を供給するため週に1回混ぜましょう。
❺コンポスターの中が満タンになったら、週に1回混ぜながら1、2カ月間かけて堆肥化を進めます。
❻色が黒くなったら完成です。
虫対策…防虫網でふたをする
カビ対策…黒、青カビが発生したときは石灰や土をかけて混ぜる
臭い対策…コーヒーかす、茶殻、くん炭、重曹を入れる
分解しやすいもの…野菜くず、茶殻、果実の皮、肉、魚
分解しにくいもの…骨、貝殻、塩分があるもの、玉ねぎの皮、トウモロコシ
調理後のおかずも軽く水で洗って、表面についている調味料を流せばコンポストに使用できます。炊飯後のご飯ももちろん使用できます。
連作障害
トマトなど植物によっては同じ土で連続して栽培すると、「枯れてしまう」「育ちにくくなる」という連作障害が出ます。トマトを植えた後の土にはネギなど連作可能な野菜を植えるなどの工夫をしましょう。また、その場合は堆肥や腐葉土を加えて栄養を補ってください。
連作可能…玉ねぎ、カボチャ、ニンジン、サツマイモ、ネギ、カブ、ニラ
できれば1年以上休耕…ダイコン、トウモロコシ、イチゴ、キャベツ、パセリ
1年以上休耕…ソラマメ、トウガン、ハクサイ、ミツバ、レタス、ナガイモ、オクラ
2年以上休耕…キュウリ、インゲン、サトイモ、ジャガイモ、ショウガ、ホウレンソウ
3~4年以上休耕…ゴボウ、トウガラシ、ピーマン、マクワウリ、シロウリ
5~6年以上休耕…スイカ、メロン、ナス、トマト、エンドウ
不要になった土は?
土の処分方法は自治体によって異なりますので、安易に捨ててしまうのはNG。例えば福岡市なら土は燃えないごみ、北九州市は少量の土なら家庭ごみ、大量の土は粗大ごみに区分されます。自宅がある自治体の処分方法を調べてみましょう。
取材・監修 花畑園芸公園