映画『仕掛人・藤枝梅安 2』
4月7日(金)より ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、福岡中洲大洋、小倉コロナシネマワールド、T・ジョイ久留米ほかにて全国公開
悪人を葬る仕掛人を演じる
二部作の第二作として4月7日(金)から公開される映画「仕掛人・藤枝梅安2」。時代小説の大家、池波正太郎が手がけた代表作の一つで、法で裁けぬ悪人を葬るさまざまな仕掛人が登場します。愛之助さんが演じるのは、仕掛人でもあり、楊枝作りの職人・彦次郎。豊川悦司さんが演じる藤枝梅安とコンビを組み、仕掛人という宿命を背負いながら友情を育む重要な役割を果たします。
愛之助さんが豊川さんと共演するのは初めて。制作側から配役を相談された豊川さんが「相棒役には愛之助さんを」と提案したそうです。歌舞伎俳優として、時代劇の素地があると同時に、映像の世界でも活躍なさっている、というのが理由だったとか。愛之助さんは「共演できて本当に良かった」と振り返ります。
「豊川さんが演じられる梅安は原作の世界からそのまま抜け出してきたかと思うほどぴったりでした。撮影現場でもみんなを優しく見守ってくださる存在でした。寡黙な印象がありましたが、いつも場を和ませてくださって。包み込まれるような安心感がありました」
原作の彦次郎は梅安よりも年上という設定ですが、愛之助さんは豊川さんよりも10歳下になります。手探りながらも、撮影を通して絶妙の距離感をつかんでいったそうです。
「梅安と彦次郎はお互いにどこか孤独を抱えていて、厳密にはバディという関係ではない。それでも通じるものがあるからこそ一緒にいる。そうした距離感を考えながら演じました。不思議な関係性ですよね。互いに信頼する友人のようでもあり、兄弟のようでもある。それでいて恋人のような距離感も感じさせる、といった関係性です」
食事シーンにもこだわり入り込みやすい作品に
映画では、言葉のやりとりを通して互いの心情を伝えていく形でストーリーが展開していきます。2人の会話のほか、一緒に食事するシーンもたくさん登場します。
「今回の作品は『食』というテーマにもフィーチャーしていました。梅安も彦次郎も、仕掛人という稼業をしている以上、いつ死ぬか分からない。おいしいものを食べられるのもこれで最後かも知れないと考えながら食事しているから、食がとても大切なんです。悔いが残らないよう、じっくり時間をかけて食事をします。コロナ禍で撮影期間中は、ご飯に行くことはできませんでしたが、撮影を通して、豊川さんと梅安と彦次郎のように仲を深めることができました」
映像や音のアート性にもこだわった「新時代劇」。作品の仕上がりに十分な手応えを感じているようです。「今作の登場人物たちはそれぞれが『闇』を抱えながら生きています。梅安と彦次郎も、共通するのは闇です。そうした闇を見て何かを感じ取っていただきたいと思います。その時代にタイムスリップしたような感覚で自然と作品に入っていける内容になっています。本当に斬新で音楽もかっこよく、スタイリッシュです。若い世代の方にも楽しんでいただけると思います」
向井大豪=文
text:Daigou Mukai