和食に欠かせない調味料のみりん。
実は味付け以外にも、いろんな力を兼ね備えたスゴイものだったのです!
かつての「甘い酒」が手放せない調味料に
キッチンに欠かせない常備調味料の1つ、みりん。その由来をたどると、日本に古くからある「練酒(ねりざけ)」や「白酒(しろざけ)」などの甘い酒が腐敗するのを防ぐために焼酎を加えたものという説や、中国の「蜜淋(みいりん)」という甘い酒が琉球や九州に伝来してみりんになったという説などがあります。このため江戸時代には調味料というよりも、甘いお酒として飲用されていたようです。
現在のみりんもアルコール度数14パーセント前後の酒ですが、昔とは違い主に調味料として使われています。味付けはもちろんのこと、みりんには他にもさまざまな役割や健康効果が期待できる調味料として近年知られるようになりました。今回はそんなみりんの魅力を紹介します。
本みりんとみりん風調味料の違い
市販されている「みりん」と呼ばれるものは、大きく分けて「本みりん」と「みりん風調味料」の2種類があります。似ているようですが、実は成分が異なる調味料です。
本みりんは蒸したもち米に米麴と焼酎、もしくは醸造アルコールを加えて、長期間じっくり糖化・熟成して作られています。糖類やアミノ酸、有機酸が作られ、みりん特有の風味が出来上がり、煮物などに奥深さを出します。豊富に含まれるアミノ酸などによる健康効果や、アルコール度数14%前後のため酒が持つ働きも期待することができます。
対するみりん風調味料は、ブドウ糖や水あめなどの糖類に米、米麴、うまみ調味料、香料などを調合して短期間で作られています。アルコール類はほとんど含まれず、度数は1%前後の商品がほとんどです。比較的お手頃価格で手に入ります。
本みりん | みりん風調味料 | |
原材料 | もち米、米麴、焼酎(または醸造アルコール) | ブドウ糖(または水あめなど)、米、米麴、うまみ調味料、香料 |
味わい | 奥行きある上品な甘さ | 糖度が高く甘みが強い |
アルコール | 14%前後 | 1%前後 |
カロリー(100gあたり) | 241kcal | 226kcal |
煮切り※ | 必要 | 不要 |
※ドレッシングなど加熱調理しない料理に使うとき。 ※メーカーや商品により違いがあります。
本みりんについて知る
■使いたくなる! 5つの役割
上品な甘さ
ブドウ糖やオリゴ糖など多種類の糖類で構成されているので、ショ糖がほとんどの成分(もしくはすべて)を占めるグラニュー糖や上白糖と比べて、まろやかで上品な甘みになります。
照りを出す
複数の糖類が素材の表面に皮膜を作り、料理に照りを出します。おいしそうな見た目になることで、食欲増進に一役かっています。
臭みを消す
加熱してアルコールが蒸発するときに、肉や魚の臭みも消してくれます。またアルコールには材料に味をしみこみやすくする働きもあります。