気候が良くなり、どこかに出掛けたくなる、この季節。
アクティブに動くためには、しっかりとエネルギーを補うことが大切です。
そこで今回は、工夫次第で完全食にもなるハンバーグの魅力を紹介します。
肉と卵で効率よくタンパク質を摂取
老若男女に人気のハンバーグ。肉、タマネギ、卵といった基本となる材料だけでなく、野菜や乳製品などの食材を合わせることで完全食に近づけることができる料理です。ハンバーグに含まれる栄養素の中でも特に注目してもらいたいのは、タンパク質。体を動かすために欠かせない栄養素であり、50〜64歳の男性は1日65グラム、50歳以上の女性は50グラムの摂取が推奨されています。タンパク質が不足すると、疲れやすくなったり、筋肉量が低下したりすることが起こるため、活動的に動くためには必要不可欠な栄養素です。
タンパク質を効率よく摂取するためには、体内で合成できない必須アミノ酸の量を示す「アミノ酸スコア」が高い食品を食べることが効果的です。主材料となる肉や卵は、アミノ酸スコアが満点の100。さらにひき肉を使用しているため、硬いものが食べにくくなった人でも咀嚼しやすいことも利点です。アクティブに行動する体を作るために理想的な料理といえるのではないでしょうか。
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より
使用する食材により多様な栄養素を摂取
使用するひき肉は牛肉のみと、牛肉・豚肉の合いびき肉があります。それぞれのメリットとして、牛肉には貧血に効果がある鉄分が多く含まれ、豚肉には疲労回復に役立つビタミンB1が多く含まれ、どちらも加熱しても働きは変わりません。体質や体調に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
さらに基本となる食材の他にも、みじん切りにした野菜や、チーズなどを具材にするなど、さまざまな食材を使用できることが特徴です。例えば、枝豆を混ぜれば鉄分を、ニンジンを混ぜれば食物繊維を摂取することができます。脂質を減らしたい人は、肉を減らして豆腐など大豆食品を加えるとよいでしょう。
次は、栄養素ごとにおすすめの材料を紹介。いつもの材料に少し手を加えたオリジナルハンバーグを食べて、エネルギー補給しませんか。
栄養素別! おすすめのハンバーグ食材
■A タンパク質
・鶏ひき肉 ・豆腐 ・おから ・豆乳 ・マグロ ・ツナ缶 ・イワシ
■B 食物繊維
・ニンジン ・ゴボウ ・レンコン ・キノコ類 ・ヒジキ ・寒天・昆布 ・わかめ
■C カルシウム
・牛乳 ・チーズ ・ちりめんじゃこ ・サバ缶 ・ヒジキ ・干しえび ・こんにゃく
■D 鉄分
・枝豆 ・ホウレンソウ ・小松菜 ・ルッコラ ・ブロッコリー ・バジル
■E 亜鉛
・コンビーフ ・高野豆腐 ・カシューナッツ ・アーモンド ・タケノコ ・大葉
■F ビタミンB1
・豚肉 ・米ぬか ・のり ・小麦胚芽 ・マイタケ ・ゴマ ・オートミール ・たらこ ・ベーコン
体質別におすすめのハンバーグの調理法や材料を紹介。 材料は上の表を参考にしてください
■筋力低下が気になる人
【プラスしたい食材 A・D】
中高年になると食が細くなり、筋肉の材料となるタンパク質が不足しがちです。タンパク質は一度に多くを取るよりも、1日3回に分けた方が効率よく摂取できます。ハンバーグをミニサイズで作り、毎食おかずの中の1品とすれば、筋肉の低下を防ぐことができます。また筋肉を動かすときに必要な酸素は、鉄が貯蔵する役割を果たします。
■むくみが気になる人
【プラスしたい食材 A・B・F】
血液中のタンパク質が不足すると、タンパク質濃度を上げるために水分が血管外に出て、むくみを感じることがあります。また、炭水化物などの糖分には水分を保持する働きがあるので、糖分を燃焼する働きがあるビタミンB₁も摂取しましょう。塩分もむくみの原因となりますので、高血圧と同じく調理法などに気を付けてください。
■骨粗しょう症が気になる人
【プラスしたい食材 A・C】
ハンバーグの主材料となるタンパク質自体も骨の材料になりますが、それと共にカルシウムを取ることがポイントです。牛乳やヨーグルトなどの乳製品の他、骨ごと食べられるサバの缶詰、ジャコなどの小魚を具材やトッピングに使うことでカルシウムを補うことができます。
■高コレステロール・高中性脂肪が気になる人
【プラスしたい食材 A(大豆食品、魚)・B】
脂質の摂取を抑えるために、肉の量を減らして代わりに豆腐などの大豆食品を補いましょう。大豆も良質なタンパク質の指標となるアミノ酸スコア100の食材ですので、肉を減らしても効率よくタンパク質を摂取できます。肉の代わりに魚のつみれを使っても、ヘルシーに仕上がります。またコレステロールの吸収を抑える食物繊維もおすすめです。
■高血圧が気になる人
【プラスしたい食材 B】
ナトリウム(塩分)を体外に排出する働きのある食物繊維の摂取を意識しましょう。
また、仕上げにデミグラスソースやケチャップをかけるのではなく、ポン酢やレモン、大葉を使うと塩分を控えめにすることができます。
■疲れやすさが気になる人
【プラスしたい食材 D・E・F】
ビタミンB₁は疲れの緩和に役立ちますが、厚生労働省の資料※によると、ほぼすべての年代においてビタミンB1の平均摂取量は推奨量を下回っています。意識してビタミンB1を取るようにしましょう。また、疲労の元ともいえる活性酸素を除去する亜鉛や、細胞に酸素を届ける役割をサポートする鉄分も疲労回復に有効です。
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」より
ハンバーグを焦がさない方法
ハンバーグ作りの失敗として多くあげられるのは、中まで火を通そうとして外側が焦げてしまうことではないでしょうか。フライパンの代わりにオーブンで焼いたり、煮込みハンバーグにしたりすることで、失敗を防ぐことができます。また、タネを形成した後、レンジで加熱すればより手軽にハンバーグを作れます。
ソースやトッピングでアレンジ広げて
材料はハンバーグに混ぜる具材としてだけでなく、ソースやトッピングとして使えば、アレンジが広がります。例えば、大葉は大根おろしと合わせてハンバーグの上にトッピングしたり、甘酢あんかけソースにしたり…。和風、中華風といろいろなアレンジをすることで、飽きずに幅広い栄養素をおいしく食べられます。
取材・監修
糖尿病ケアクリニック六本松
院長大久保賢さん、同院所属管理栄養士
料理研究家・管理栄養士・野菜ソムリエ
田代敦子さん