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【ぐらんざ人】俳優 瀬戸康史(せとこうじ)

【ぐらんざ人】俳優 瀬戸康史(せとこうじ)


撮影:マチェイ・クーチャ

福岡演劇交差点vol.1「彼女を笑う人がいても」
日時/12月22日(水)開場17:30、開演18:30
場所/福岡市民会館 大ホール
料金/全席指定(税込) S席:12,000円 A席:8,500円 学生席:5,000円 
問い合わせ/092・732・1688(スリーオクロック)

安保闘争とコロナ禍 二つの時代を描いて

 今の時代だからこそ、観てほしい。そう感じさせる舞台、『彼女を笑う人がいても』が12月に上演されます。

 主人公は、2021年を生きる新聞記者の伊知哉。入社以来、東日本大震災の被災者の取材を続けてきましたが、配置転換により取材を断念せざるを得ない状況に。行き詰まりを感じる中、タクシー運転手で亡くなった祖父・吾郎もかつて新聞記者だったことを知ります。

 吾郎が新聞社を辞めたのは1960年、「60年安保」の年。吾郎は安保闘争に参加する学生たちを取材しますが、1人の女学生が闘争中に命を落とします。新聞社の上層部では沈静化に向けた「共同宣言」が準備されつつありました。報道とは何か? 声なき声とは何か? 時を超えて、伊知哉と吾郎の姿は重なり…。

 伊知哉と吾郎の2役をつとめる福岡出身の俳優・瀬戸康史さんに、本作について話を伺いました。

 「安保闘争については、僕はあまり聞きなじみがないので、資料やネットで記事を読んだりして調べています。ただ、この作品では安保闘争があった過去と、コロナ禍の現在とを行き来しながら、話が進行していくので、安保の話も今の世の中とリンクしているように感じますね」

 安保闘争と言えば、現代からは考えられないほどの激しさを思い起こさせます。二つの時代が重なっていくとは、どういうことなのでしょうか。

 「当時の学生たちのように何かを信じて突き進んでいくというのは、僕の中にはなくて。あのエネルギーがどこからくるのか、僕は分からなかったんです。でも、1人の思いとか、発言というものがとても大事で、大きいものなんだということを、この作品を通じて感じています。今、こういうコロナの状況になって、自分だけ自粛しても意味がないのではと感じる人もいると思いますが、1人ひとりの思いが積み重なっていくことが大切なのだと思います。誰かが発信するからいいや、とかではなく、敵を作ったとしても自分が思ったことを言わないより言った方が、世の中や自分が豊かになる気がします」

モヤモヤしている人に観てもらいたい作品

 強いメッセージが込められた本作。特にどんな人に観てもらいたい? との問いに、瀬戸さんは「モヤモヤしている人」と答えます。

 「こういうコロナ禍でモヤモヤしているというのもそうですし、自分なんかが思っていることは伝わらない、とモヤモヤしている人に観てもらいたいですね」

 瀬戸さんは伊知哉と吾郎についての印象も教えてくれました。

 「2人ともそれぞれの正義と言いますか、軸がある人だと思います。なかなか折れない、そういう信念みたいなのがちゃんとある人たちだなと。モヤモヤを抱えている人の横に並んで肩を組んで一緒に行こうって言ってくれるようなキャラクターであり、作品だなって僕は思いますね。福岡の人たちは、こういう熱くて切ない話はめちゃくちゃ好きだと思うんですよ。ぜひ観てもらいたいですね」


山﨑智子=文
text:Tomoko Yamasaki

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