【ぐらんざ人】俳優山﨑賢人（やまざきけんと）

　漫画から始まった『キングダム』がテレビアニメ、映画、美術館での特別展など一大ブームを起こし続けています。これは秦の始皇帝が歴史上初めて中華統一を果たした軌跡に沿って、その下で「天下の大将軍」になることを夢見る少年・信（しん）の成長を描いた物語です。興行収入57億円を突破した劇場版の続編『キングダム２ 遥かなる大地へ』がついに公開。主人公の信を演じる山﨑賢人さんが、本作への思いを語りました。

　「前作ではえい政（せい）（後の始皇帝）が秦の玉座を奪還するまでのお話で、撮影が終わったときは『まだまだこれからなのに。天下の大将軍になるまでやりたい』と思いました。だから、続編の話を聞いたときは、めちゃくちゃうれしかったですね。今回は信の初陣である『蛇甘平原（だかんへいげん）の戦い』が描かれています。５人組で戦う組織の伍を組むところから始まり、本能で動く大将軍と対照的な知能型の大将軍を目の当たりにし、仲間の思いを背負って戦う隊長の生きざまを目にする。そのエピソードを丁寧に描いていることが、信として生きる自分にとってすごくありがたかったです」

　伍のメンバーの１人、尾平（びへい）を演じるのはプライベートでも山﨑さんと仲がいい岡山天音さんです。

　「天音は10代のころから一緒にいて、僕の弱い部分も全部知っている友達です。今回、新しいキャストも多かったことから『みんなを引っ張っていく役目を俺は果たせてる？』と相談しました。そしたら『賢人の気持ちがいい形でいいし、無理しなくていいよ』と言ってくれて…。心強かったですね」

　一方、信が憧れを抱く大将軍・王騎役は大沢たかおさんが演じます。

　「王騎将軍は信が目指す大将軍そのものです。演じる大沢さん自身が放つオーラも異次元に感じるほどエネルギーがあり魅力的でした。体も前作よりさらに大きくなるように鍛えられていました。原作の王騎将軍は実写化する際に、生身の人間がどう演じるのだろうとすら思えるキャラクターです。もし、自分にそんな役が来たときに、果たしてあれ程の説得力、表現力、魅力を出して演じ切ることができるのかと考えました。でもそこを演じることが、役者として一つの夢になりました」

　そんな共演者たちとクランクアップを迎えたときには、こみ上げてくるものがあったそうです。

　「普段は全然泣くタイプじゃないのに、『キングダム』のクランクアップだけは泣いてしまいます。信を演じていたからかもしれないですね。信は周りに対して壁がない人だから、感情がいつも解放されている。だから演じた僕も自然と涙が出ていました。同時に今回もすごいことをみんなで乗り越えた感覚がありました。信と仲間たちの関係や描かれている物語が、全てこの映画の撮影とリンクしているように思えます。感情の根本となる大事な部分が揺さぶられる作品です。観た人たちは、信たちと同じような熱い気持ちや生きるパワーをもらえると思います」

　力みなぎるキングダム劇場版。２作目とは言え、物語はまだまだ始まったばかりです。信の大将軍への道のりを共に歩んでいきませんか。